盤上の月 20


(20)
タクシーは30分ほどかけてアキラの家に着き、タクシー代はヒカルが払った。
「たまたま対局料と おこずかいがあったから助かったなあ。」
ヒカルはアキラを支えて玄関に向かった。その時アキラの髪が自分の顔に触れた時、一瞬心臓が
止まりそうになった。
──塔矢を家に送って早く帰りてぇ・・・。
ヒカルは顔をしかめた。心臓がバクバクし破裂しそうに感じた。
空は一段と曇り、時刻は16時なのに すでに夕闇に近い暗さになっていた。
「すっげぇー家だなあ・・・。」
純和風の風格のある邸宅と庭にヒカルは目を見張った。
アキラはバッグから家の鍵を取り出して鍵を開け、玄関に入った。
「えっ、誰も家にいないのか?」
「両親は今 韓国に行っている・・。」
それを聞いてヒカルは一瞬胸がドキっとした。何故か自分が とてつもないところへ足を踏み入れ
ようとしている気がした。
「進藤 ありがとう。あとは大丈夫だから。」
「ホントに大丈夫か?」
「うん・・・。」
アキラは靴を脱ごうとしたが体がふらつき、バランスを崩して後ろに倒れかかった。
「うわあっ、大丈夫かよ!?」
ヒカルは慌ててアキラの背中を受け止めた。そして玄関の上がり口にアキラを座らせて靴を脱がし、
そして大きく息を吸い込みアキラを支えながら家に上がった。
人気のない大きな邸宅の中は薄暗くて不気味な感じがした。また、自分の胸の動悸がアキラに感づ
かれやしないかと気が気でなかった。



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