マッサージ妄想 21 - 25
(21)
アキラの入り口は社の指先が差し入れられると待ち侘びたようにそれに吸い付き、赤児が懸命に
ミルクを喉に流し込むような動きで奥へ奥へと呑み込もうとした。
その、肉の器官が意志を持ったかのような積極的な動きはいつ見ても淫乱で多少グロテスクで、
そして堪らなく愛おしい気持ちを社の中に呼び起こす。
「そう急かさんでもエエ。アンタの欲しいモンは全部やる」
言いながら社は咥え込まれた指先を宥めるようにゆるゆると回し、つっと引いてから再び押し入れて、
今度は呑み込もうとする内壁の動きに呼吸を合わせるようにゆっくりと指の付け根まで収め切った。
そのままアキラの秘口をじっくり鑑賞しながら慣らしていくことも出来た。
だが社は一旦指を引き抜くとアキラの下肢を布団の上にそっと下ろした。そして自分はアキラに
覆い被さる形で左肘をつき、右手をアキラの双丘の狭間に伸ばし入れる体勢になった。
アキラからほっと溜め息が洩れる。
「・・・この格好のほうが楽やろ?」
「・・・ボクはそうだけど・・・社が大変じゃない?・・・ボクが、・・・・・・こうしてたほうが・・・・・・」
と、アキラが自分で尻を持ち上げようとするのを押し留める。
「あー、エエてエエて。こんくらい何でもあらへん」
「じゃ、後ろを向こうか?・・・」
「エエから。アンタは楽にして、オレに任しとき」
「・・・そう?嬉しいな・・・・・・これだと、・・・ボクもキミの顔が、見られるし」
乱れる息の下で目を潤ませながら、アキラは微笑み社の顔を撫でた。その瞬間社は自分の胸が
キュンと鳴るのを聞いた。
(22)
「・・・・・・社、汗だく」
アキラは震える指で汗まみれの社の額から眉、眼窩、こめかみ、頬、鼻筋、顎へと丁寧に拭い、
水に浸したように濡れてしまったその指をひらひらと見せて笑った。
社の汗粒がアキラの指から薔薇色の手のひらへと伝い、静脈の透けた白い手首へつうっと流れ落ちる。
それはまたアキラの腕を伝い、滑らかな表面をじっとりと覆っていたアキラ自身の汗と溶け合って
肘まで達した。
それを見て、愛おしさと情欲がない交ぜになったような感覚が身体の奥に突き上げる。
「・・・・・・なんやオレ、今アンタのこと、力いっっっぱい抱いて無茶苦茶にしてやりたい気分やねんけど」
「そうなんだ?」
「ウン」
アキラはフッと微笑むと、社の首の後ろに手をかけて自分の口元に耳を寄せさせ、囁いた。
――じゃあ、無茶苦茶にしてみせて?
唇を、首筋を吸い上げ、濡れた肌の感触を貪りながら下の入り口を慣らしていく。
アキラの口腔も首筋に絡みつく手も、時折社の腹筋を押してくる猛り立つアキラ自身も、
隠された奥の器官も火のように熱い。
汗にまみれた裸の肌と肌が擦れ合うたびにぴちゃぴちゃと水が弾けるような音がして、
のぼせるような蒸れた空気はまるで温泉に浸かって戯れているような錯覚をもたらす。
その中に社の名を呼ぶアキラの声が蕩けそうに響く。
「あぁ・・・・・・はあっ・・・・・・!うぅん、社、社・・・・・・やしろぉっ・・・・・・!」
(塔矢、塔矢・・・最高や・・・・・・!蹴っ飛ばされても都合のエエ男でも何でもええ!我が青春に
一辺の悔いな――――し!)
「塔矢っ!待たせたな。行くでぇ?」
「あぁっ、もう、やし・・・・・えっ。あっ、ちょっと待って・・・・・・ダメッ!」
アキラの脚を抱え上げ、十分に慣らした部分に万感の思いで己のモノを突き立てようと構えた瞬間、
アキラがぱっと身をよじり両手でその部分をガードした。
(23)
(えぇっ、なんでやねん!そらないで塔矢!アンタもその気でノリノリやったんとちゃうんかい!)
悶絶しそうな表情で硬直している社に、アキラはその部分を手でしっかり覆い隠したまま
少し顔を赤らめ申し訳なさそうに言った。
「違うんだ、社。そうじゃなくて、その前に・・・・・・」
形のよい唇が軽く開き、中から赤い舌がチロリと覗いたかと思うとねっとりとした動きで
自らの口唇の周囲を舐めまわす。
「こっちにも、欲しい・・・・・・」
「あ、・・・・・・」
先ほどまでの熱に浮かされたような表情から一転し、明確な意志を持つ物欲しげに潤んだ瞳が
社を捕える。要求されているものを察して社も多少自分の頬が赤らむのを感じた。
「・・・・・・別に構へんけど・・・・・・」
「そう?じゃあ、」
と嬉しそうに微笑んでアキラは指をそっと伸ばし、軽く押すように社の胸に触れてきた。
その手に促されるようにアキラの上から身を起こし、布団の上で膝立ちにさせられる。
同時にアキラも身を起こすといそいそと社の前に座り、キスをする前に恋人の顔に手を添える
ような仕草で社の腰まわりに手を掛けた。
そのままジッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・と、昂り滾る部分に視線を当てられる。
(・・・・・・うわ、またコレや・・・・・・)
社は今度こそ自分の首から上が真っ赤になるのを感じた。
行為のたびにアキラは社のモノを口で味わいたがったが、その前に必ずこうして、
やがて自分の口が含むことになるモノを観察した。初めて関係を持った時からそうだった。
社はあらゆる面において自分の体躯には自信があったし、それは両脚の間に雄々しく存在を
主張するその部分についてもそうだった。
過去に社が交際してきた多くの異性のベッドにおける反応もまた、その自信を裏付けてくれていた。
現にこれで刺し貫いて責め立ててやれば、アキラをも半狂乱で善がらせることが出来るのだ。
(24)
だがこうしてアキラに真顔でしげしげとその部分を見つめられると、社は急に身の置き所がないような、
拠って立つ足場がぐらぐらと揺らいでいるような、羞恥と不安の入り混じった気分に襲われてしまう。
アキラが今まで何人の男と関係を持って来たのか、正確な数は社も知らなかった。
自分のモノを熱のこもった眼差しで観察しながら、頭の中ではアキラは彼らの雄と目の前の
雄とを引き比べ、どちらが優れているのか、順位をつけるとしたら何番目か、
目の前の雄は本当に自分を満足させ得るものなのか、見定めているのかもしれない。
アキラにとってセックス相手としての自分は何番目の男として位置づけられているのか。
そんな風に考えただけで存外繊細な社は涙目になってしまう。
「と、とーや。そんな見んといてや」
思い切って声を出してみたが、腰の抜けたような弱々しい声だった。視線をそこから外さないまま
冷静にアキラが聞き返す。
「どうして?」
「どうしてて・・・・・・そんなに見られたら、オレかて、恥じらってまう・・・・・・」
たじろいだ気持ちが身体の動作に表れてしまったのか、社の膝が僅かにアキラから逃れるように
後ろへ一歩退いた。
その途端アキラは目を大きく見開き、決して逃すまいとするかのように
腰に掛けた手にグッと力を込めて来た。そのままパッと顔を上げ、泣き出しそうな顔で見つめてくる。
アキラが勢いよく顔を上げた瞬間跳ね上がった前髪が昂りの先端をかすめ、社は思わず前屈みになった。
「と、塔矢、ちゃうで。今のはつい・・・・・・」
弁解する間も与えられないうちに見上げてくるアキラの瞳はウルウルと涙に潤み、
次いできゅっと目を閉じて首を振ったかと思うと、大きく息を吸い込み
ぱくん!と社のモノを咥えてきた。
「とっ・・・・・・」
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不意の襲撃に社が白目を剥く。そんな社をアキラはチラッと見上げ、またきゅっと目を瞑ると
口腔全体を使って激しくしゃぶりあげて来た。
「と、塔矢!」
思わず腰を引いて逃れようとする。それが余計アキラを逆撫でしたようで、
社の腰に縋り付いていたアキラの両手が今度は足腰全体を抱き締めるように後ろに回され、
尻肉をねじるように強く掴んでくる。あまりの痛みに社の全身に緊張が走った。
「と、とー・・・・・・!」
激しく揺れるアキラの頭を押さえ引き剥がそうとして、社はハッとある状況に気づいた。
(こっ、これは・・・・・・っ)
社によって頭を押さえられたアキラは頬を上気させて固く閉じた目の縁に涙を滲ませ、
切なげに眉を顰めながら懸命に頭を動かし、口を使っていた。
端正な顔が苦渋の色に歪み、景気よく音を立てて激しい抽送が繰り返されるたびに
赤い口唇から濡れた呻きが洩れる。
今までに何度もアキラから口での施しを受けては来たが、そのいずれも、
先に述べたような理由から半分引け腰状態になってしまっている社を、アキラが嬉々として
しゃぶり上げるという状況だった。下の入り口を貫いている時は社が上位でも、
上の口で含まれるとなるとニコニコしながら股間に顔を埋めてくるアキラの積極性に
社が完全に呑まれる形だった。
(こんな苦しそうに口使う塔矢を見たんは初めてや・・・・・・)
そのアキラの頭を自分が押さえつけているという図が更に、まるで自分が嫌がるアキラに
無理やり奉仕させているかのような錯覚を喚び起こす。
(な、なんかこの図は、非常にエエかも知れん・・・・・・っ!)
全身の血が沸き立つ心地を覚えて、次の瞬間社はぐっとアキラの頭を手で固定した。
口の動きを止め、アキラがまたチラッと見上げてくる。美しい髪が乱れて濡れた額や頬に張り付き、
荒い呼吸が熱く洩れて、大きな切れ長の瞳がキラキラと潤んで社の胸を撃ち抜く。
「あのなあ。・・・・・・じっとしとき、塔矢。・・・・・・、・・・・・・っ!」
「んっ・・・・・・んん――――っ!」
まるく開いて己を包み込んでいるアキラの濡れた口唇の中へとガクガク激しく腰を打ちつけ、
その温かさに酔いながら、社はアキラの喉の奥目がけて勢いよく熱いものを吐き出した。
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