盤上の月 22


(22)
──塔矢ってホント、キレイで整った顔してるよな。
性格はプライドが やけに高くてウルサイけど。
・・・キレイな形の唇だなあ。
ハッと気付くと、自分の顎に当てていた右手が いつの間にかアキラの唇に触れていた。
「・・!?」
ヒカルは そんな自分の行動にひどく戸惑った。自分の中に今までと違う異質な自分がいるような
気がした。
──最近のオレはホントどうかしているっ!
ヒカルは激しく自分を責めたてた。でも指に触れたアキラの弾力ある柔らい唇の感触は、ヒカルの
中にある本能的な男の部分を刺激するには充分だった。
ヒカルのそれは反応して大きくなってしまい、顔を赤らめながら慌てて それを両手で押さえた。
徐々にヒカルの中でアキラに対しての想いが確実にある形を成しつつあった。
ヒカル自身も時々 自分の心に見え隠れする感情に対して、それがいったい何なのか うすうす
気が付き始めていたが、それを認めたくない自分がいた。
思わずアキラから視線を逸らしフッと窓の方に移すと、外は雪が降っていた。
ヒカルは大晦日の日の事を思い出した。



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