マッサージ妄想 25 - 26
(25)
不意の襲撃に社が白目を剥く。そんな社をアキラはチラッと見上げ、またきゅっと目を瞑ると
口腔全体を使って激しくしゃぶりあげて来た。
「と、塔矢!」
思わず腰を引いて逃れようとする。それが余計アキラを逆撫でしたようで、
社の腰に縋り付いていたアキラの両手が今度は足腰全体を抱き締めるように後ろに回され、
尻肉をねじるように強く掴んでくる。あまりの痛みに社の全身に緊張が走った。
「と、とー・・・・・・!」
激しく揺れるアキラの頭を押さえ引き剥がそうとして、社はハッとある状況に気づいた。
(こっ、これは・・・・・・っ)
社によって頭を押さえられたアキラは頬を上気させて固く閉じた目の縁に涙を滲ませ、
切なげに眉を顰めながら懸命に頭を動かし、口を使っていた。
端正な顔が苦渋の色に歪み、景気よく音を立てて激しい抽送が繰り返されるたびに
赤い口唇から濡れた呻きが洩れる。
今までに何度もアキラから口での施しを受けては来たが、そのいずれも、
先に述べたような理由から半分引け腰状態になってしまっている社を、アキラが嬉々として
しゃぶり上げるという状況だった。下の入り口を貫いている時は社が上位でも、
上の口で含まれるとなるとニコニコしながら股間に顔を埋めてくるアキラの積極性に
社が完全に呑まれる形だった。
(こんな苦しそうに口使う塔矢を見たんは初めてや・・・・・・)
そのアキラの頭を自分が押さえつけているという図が更に、まるで自分が嫌がるアキラに
無理やり奉仕させているかのような錯覚を喚び起こす。
(な、なんかこの図は、非常にエエかも知れん・・・・・・っ!)
全身の血が沸き立つ心地を覚えて、次の瞬間社はぐっとアキラの頭を手で固定した。
口の動きを止め、アキラがまたチラッと見上げてくる。美しい髪が乱れて濡れた額や頬に張り付き、
荒い呼吸が熱く洩れて、大きな切れ長の瞳がキラキラと潤んで社の胸を撃ち抜く。
「あのなあ。・・・・・・じっとしとき、塔矢。・・・・・・、・・・・・・っ!」
「んっ・・・・・・んん――――っ!」
まるく開いて己を包み込んでいるアキラの濡れた口唇の中へとガクガク激しく腰を打ちつけ、
その温かさに酔いながら、社はアキラの喉の奥目がけて勢いよく熱いものを吐き出した。
(26)
途端にアキラが激しく咽込んだ。
いまだかつてないシチュエーションでアキラの口中を征服した感慨と余韻に目を閉じて
打ち震えていた社は、アキラの頭を押さえた手に伝わる震動でそれに気づき、我に返って
慌てて己をアキラの口から引き抜いた。
アキラは両手で口を押さえ、げほっげほっと背中を大きく揺らし咳き込んでいる。
(あ、あかん!オレいま何を・・・・・・!)
「スマン塔矢!ここに出しーや。無理させてスマン。ほんまスマン・・・・・・」
両手をぴったりと椀の形に作り、アキラの口元にあてがってやる。アキラは口を押さえたまま
プルプルと顔を横に振ったが、「エエから出し!」と強めの語調で促すと社の手を自分の両手で
更に包むようにし、口を開いた。ドロリとした白濁の液体が重たげに社の手の平へと流れ出る。
アキラの唾液と混ざって薄められていることもあるのだろうが、手の平を満たした予想外の分量に
自分がアキラに叩きつけた劣情の身勝手さを見るようで恥ずかしくなる。
口唇と顎と、白濁の海とを繋ぐ半透明の筋が次第に細くなり、途切れると同時に、アキラの眼から
涙が一筋零れ落ちた。
(今まで無理強いだけはして来んかったのに・・・・・・オレいう奴は・・・・・・最低や)
アキラにしゃぶり上げられ、搾り取られるようにその口中に放った経験は何度もあった。
今アキラの喉奥に欲望を吐き出したのも、行為としてはそれらと変わらないのかもしれない。
だがアキラの頭を押さえ込みその口中を穿つ間、自分は明らかに、普段思い通りにならない
尊大な相手を蹂躙し征服する感覚を楽しんでいた。
誰よりもアキラの信頼を受け安らぎを与えてやれるのは自分だと自負していたにも関わらず、
欲望に駆られてアキラに対しそんな感情を抱いてしまった内心の不実を恥じた。
荒い息をつき苦しそうにしているアキラを抱き締めてやりたくて、だが自分の両手は濁った
欲望の液で塞がっていて、社は取り敢えず両手を空けようと備え付けのティッシュを目で探した。
その社の手首をアキラが掴んだ。
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