盤上の月 27
(27)
「―――!?」
アキラの素肌に直接触れるヒカルの手がビクッと止まり静止した。アキラの体が極度の高熱を
放っているのを感じたからである。そして今 自分がしている事に驚いた。
──オレ・・・・・・いったい何やってんだ・・・・・、どうしてこんな事しているんだっ!?
いきなり冷水が掛けられたかのように頭が冴え、徐々に激情が遠のき、自分の現状に驚いた。
急に手が止まったヒカルをアキラは いぶしかそうに見上げる。
何も言わずにヒカルはアキラから目をそらして急いで体を離そうとした。その途端、アキラは
強い力でヒカルの腕をつかみ、ヒカルは痛さに顔をしかめた。
「なんで やめるんだ進藤・・・?」
そう言いながら体を起こし、アキラはヒカルの真正面に向かい合った。アキラは熱で瞳を潤わせ、
そこには蠱惑的な妖しい光が満ちている。
その瞳の奥に底知れないものが潜むのを本能的に感じてヒカルは思わず背筋がゾクッとした。
だが その瞳から目をそらす事が出来ず、微動だにも動けない。見つめ合いながら二人の間に
緊迫した重い空気が漂う。
そしてヒカルは その長く重い沈黙を破るため口を開いた。
「・・・・・・・おまえ熱あるだろ・・・・・。それにオレ、こんなのは・・・嫌だ」
「なぜ・・・?」
「なぜって・・・・・オレ達男同士だし、やっぱオカシイよ・・・こんなこと・・・・・」
「ボクは進藤のことが真剣に好きだ。それは おかしい事なのか?」
―――夢なら自分の進藤に対する想いは何でも言える・・・。
アキラは自分の中に抑圧されていた感情の全てをヒカルに ぶつけた。
「進藤の気持ちはどうなんだ、ボクの事は嫌いか!? 嫌いなら そうだとハッキリ言えっ!!」
突き刺すような鋭い視線をヒカルに浴びせ、食ってかかるようにアキラは叫んだ。
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