盤上の月 3


(3)
アキラは大抵の人とは話は普通に出来るが、どこかで無意識に一線を引いてしまうところがある。
だからヒカルの そんなところが少し羨ましかった。
「このチーズケーキ、あかりが作るのと味が似てるなあ。」とヒカルが言った時、
アキラは ひどく驚いたがヒカルの顔を見ずに目を伏せて、
「・・・あかりって進藤の彼女?」と低く押し潰した声で聞いた。
「えっ、違うよ! アイツは昔からの腐れ縁で家が近いから よくお菓子を作って持ってきて
くれるんだ。それだけだよっ。」と真っ赤になって焦り慌てながら答えた。
アキラと晴美は口にこそ出さなかったが、気もない男に わざわざお菓子を持ってくる女の子は
いないだろうとツッコミを入れたかったがあえて止めた。
いかにもヒカルは恋愛沙汰には疎そうなので無駄と思ったからである。
そうか・・・進藤には幼馴染でも親密な付き合いのある女の子がいるのか・・・と 
アキラは思ったと同時に胸の奥にズキッと鋭い痛みが襲った。
「よしっ、ケーキを食べた事だし そろそろまた打つか、なあ塔矢?」と
ヒカルは元気よく言った。
「・・・ああ、そうだね。」と胸の疼きを隠すように必死に無表情を装いアキラは答えた。
日に日にヒカルに対しての自分の気持ちが募っていくのを感じてアキラは自分自身を恐れた。
もう自分の心を誤魔化す事は不可能だった。
・・・この気持ちを どこまで抑える事が出来るだろうか・・・・・。
自分が男を好きになったという事実自体が大きなショックでもあるし、
また恋愛の経験がなくヒカルに対しての気持ちにひどく戸惑ってしまい、
それがアキラを よりいっそう苦しめる。
こんな想いを進藤に抱くなんて・・・進藤に悪いし、そんな自分をさぞ気持ち悪がるだろう・・・。
アキラは そんな自分に自信がなく、強い不安が徐々に心の大半を占めてくるのを感じた。
そしてヒカルを想う気持ちと不安が入り混じり、瞳を複雑な色に染めていった。
アキラの心の葛藤をよそにヒカルは機嫌よく碁盤に碁石を並べていった。
無邪気なヒカルを見てアキラは小さい溜息をつき、少しヒカルを憎らしく思った。



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