盤上の月 5


(5)
その指の先には、また研究碁で熱を帯びてヒートアップしている2人の姿が北島の目に入り、
「あちゃー、また始まったかなコリャ? でも進藤君も進藤君だよな。
若先生に盾突こうとするなんて百年早いよ。」と言った。
北島は この碁会所で一番のアキラびいきなので、ヒカルに対しての見方が一段と厳しい。
晴美は渋い表情を見せながら北島の荷物を預かった。
2人の討論が徐々に熱を上げるにつれて受付台のほうへ対局中のお客達が「ヤバそうだぞ。」と
口々に言いながら次々移動してきた。
結局、声を荒々しく上げて喧嘩を始めたアキラとヒカルを見て
「それにしても本当に見事と言わんばかりの組み合わせよね あの2人。
育った環境も性格も まったく正反対なのに、あそこまでお互いの碁に刺激されあうなんてねぇ。
あの2人の接点って、ホントに『碁』しかないのよね。」と晴美は しみじみ言った。
それを聞いた他の客達も皆ウンウンと頷く。
そのうち客の1人が「あっ、性格似ているところあるよ。ホラ 碁バカのところ。」と言った。
周りの客達も晴美も思わず一斉に噴出した。

見事なまでに対照的な2人のアキラとヒカルを黒白の碁石に例えるなら、
『夜(陰)』を表す黒石は 盤上の攻撃・守備を幅広く展開して沈着冷静な碁を打ち、
相手を矢で射抜くような鋭い瞳を持つアキラを、
また『昼(陽)』を表す白石は 自由奔放でありながら地に付く腰のすわった奥深い碁を打ち、
明るく無邪気で澄んだ瞳を持つヒカルを表しているようでもある。
それはまるで陰陽の石が人の姿を借りて、現世に降臨しているかのようにも映る―――。



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