マッサージ妄想 5 - 6


(5)
「こら、動いたらあかん」
「だって・・・・・・くすぐったいよ。あっ、ハハ、だからそこはダメだって、アハハ」
「なんやアンタ猫じゃらし見た猫やあるまいし、はしゃぎすぎやなあ。こっちは精魂込めてやっとる
ちゅうのに、緊張感足りんのとちゃうか」
「え、そんなに一生懸命やってくれてるの?」
「当たり前や。足揉み師の極意は一指入魂、一押し一押しに命かけとんのやでぇ?」
「そうなの?でもくすぐったいものはくすぐったいよ」
「そらそうや。なら甘くないヤツいっとこか」
ちょうど両足の足指へのマッサージが一通り終わったので、足裏のツボ押しへと移ることにした。

「痛っ、いたた、痛いよ社」
指の関節を当てグッと力を込めてやるとアキラが身を竦ませた。
「足ツボ押して痛いのは身体が『疲れた』ゆうとる証拠や。足裏の神経は身体の色んなとこと
繋がっとるからな。こうして丁寧にほぐしていったらそのうち痛くなくなる。・・・・・・どや?」
「うん、そう言えばあんまり痛くなくなってきたような・・・・・・んっ、でも、あぅ、痛ぁっ」
いわゆる「湧泉」のツボを押してアキラが大きく身を捩った瞬間、膝裏まで上げられていた浴衣の裾が大きく割れて
輝くばかりに白い太腿が覗いた。
(ぐはっ)
心の中で鼻血を吹いた社をよそに、右足の太腿の途中までスリットを入れたような格好のまま
アキラは「んっ、んっ・・・・・・」と枕に頭を押し付けながら、断続的に襲う痛みに悶えている。
(あっかーん!こら目の毒や)


(6)
慌ててギュッと目を閉じた社だったが、視覚が遮断されるとかすれたような甘い声と乱れた吐息、
アキラが枕に顔を擦り付ける音だけが聞こえ、今が単なるマッサージ中だということを忘れそうになる。
「んっう、あっ、・・・・・・はぁっ、・・・やっ、痛い・・・あんっ・・・あっ、・・・・・・んんー・・・・・・っ」
(塔矢、オレを殺す気かー!)
その時社の脳裏には何故か薄墨色の袈裟をまとった修行僧が百人ほど列をなし、寄せては返す大波の
ような深々とした声で意味不明のお経を唱えていた。よく聞くとそれは「心頭ー滅却すーれーばー
火ーもーまーたーすーずーしー」と唱えているようだったが、その合間合間に悩ましく響くアキラの声の前では
心頭滅却どころか煩悩がムクムクと猛スピードで膨れ上がるばかりである。
(耐えろ、耐えるんやオレ!これは自分との闘いやー!)
社の頭の中で、己という敵との試合開始のゴングが鳴った。

両足の裏のツボ押しマッサージを全て完了する頃には、心の鼻血は既に血の海を作り社はその中で
真っ白な灰となっていた。
「凄い、だいぶ足が軽くなった気がするよ。ありがとう社」
「そら・・・・・・良かった・・・・・・はは・・・・・・」
「あれっ?なんだか疲れてない?大変だったらもういいよ、随分楽になったし」
「あ?あーもう何をゆーとんのや!ここまでやったら最後までやらな、こっちの気が済まんわ。お客さんは
なーんも考えんとリラックスしとってくれたらええんや」
「そう?じゃあお任せするよ」
嬉しそうに微笑まれると弱い。
再び枕を抱え直したアキラの足元から少し右脇へと移動する。



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