盤上の月 8


(8)
「そんなにオカシイか アキラ?」と真剣な顔で聞く芦原に必死に笑いをこらえて
「そんなことないですよ ボクも甘い物嫌いじゃないし。
じゃあボクは あんみつを頼もうかな?」と芦原を さりげなくフォローした。
「おい芦原、おまえアキラくんに気を使われるようじゃ まだまだだな。」と緒方は笑いながら
熱燗の酒を自分で注いで飲み、またアキラも再び冷酒を飲んだ。
その横では芦原は口直しで料理に箸を動かしていた。
今まで柔らかかった緒方の目線がフッと厳しくなり、それはアキラに向けられた。
「・・アキラくんも もう15歳か・・・。早いものだなあ、俺も年を取るはずだ。
キミを見ていると碁というのは努力は もちろんだが、才能というのがいかに大事かと
思い知らされるな。」
「緒方さん・・・?」
「キミが本因坊リーグに順調に勝ち上がっていくと、近くに俺と対局があるのを知っているだろ?
一柳先生を破ったキミだが、そうそう世の中は うまくいかないものだ。
才能と努力だけでは勝てない事を身をもって知る事だな。」
緒方は目を細め、一段と強い視線をアキラに浴びせた。
「・・・望むところです。」
アキラは眼光を一瞬強めて、緒方の視線に堂々と真正面で受けた。
2人の間に冷たく緊迫した空気が流れ、未来の対局に向けて緒方とアキラの間で、
盤上外での戦いが密かに始まった。
「それでこそ 待ち続けた甲斐があるもんだ。」とアキラの態度を見て緒方は笑みを浮かべ、、
グッと酒を胃に流し込んだ。
「ホラホラ、そこの2人! 今日ぐらいは碁の事は忘れてパーとやらなくちゃっ。」と
芦原が異変に気付いて2人の間に入り、不穏な雰囲気を和らげた。
ちょうど そこへ仲居が和風パフェとあんみつを運んできた。



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