白と黒の宴3 27


(27)
「それじゃあ、行こうか。」
社が座ったまま唇を噛み締めアキラを見上げる。その社の顔を見下しアキラは言った。
「ボクを抱くんだろう?」
社は黙ったまま立ち上がった。
聞くつもりがなくてもアキラのはっきりした口調に驚いたように席亭は2人を眺め、
連れ立って出て行く2人を唖然として見送った。

建物を出るとすっかり日が落ちて暗くなった道をアキラは先を歩いて行く。
その後ろを社が両手をポケットに突っ込んで歩く。
駅に向かう途中で裏通りに入り、アキラは辺りを見回した。
その先にそれらしいネオンが見える。
「あそこでいいかい?」
アキラはちらりと社に向かって言い放つと真直ぐそちらに歩いて行く。
最初に目に入ったホテルのドアをアキラは躊躇いなくくぐる。
社が続いて入ると既にアキラはその場にあった室内の写真のパネルの一つの
ボタンを押していた。
「…これでいいんだよね。」
以前の社がしていた事を覚えていたようにして、アキラは廊下を進んだ。
やはり途中の受付の窓口のカーテンの中にいた者は声こそ特に掛けて来なかったが、
興味深そうに若い同性のカップルを見遣っていたようだった。
狭いエレベーターで向き合うように立っている間2人の間に会話はなかった。
ただピリピリと、互いに皮膚に突き刺さるような緊張感を感じていた。



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