白と黒の宴3 61 - 65


(61)
「んん!!」
ビクッと更に大きくアキラの体が震えた。
ヒカルの指がアキラ自身を捕らえ、形をなぞっていた。
アキラは息を止めた。まだ、緒方に性毛を剃られた状態から殆ど変わっていない。
ヒカルがその事に気付かない事を祈った。
「…塔矢、…お前…」
アキラは目を硬く閉じた。理由を聞かれたら、その時は全て話さなければならないと
覚悟した。

「お前の…スゲエ熱い…」
そしてヒカルの指は別へ動いていった。どうやらヒカルは特に何も
気付かなかったらしい。ほんの欠片も自分の事を疑っていないのだろう。
そんな限り無く無垢なヒカルが愛しかった。
それだけに、アキラは自分が果たしてこのままヒカルを受け入れていいものか
一瞬迷った。ヒカルを汚す事になりはしないだろうか。
その時、ヒカルの指がアキラ自身のその下の奥に在る入り口に触れて来た。
「あっ…、進…藤」
思わずアキラが腰を引こうとしたがヒカルは離してくれなかった。
ハアハアと、荒いヒカルの呼吸が激しく繰り返されていた。
アキラの同意を得る余裕など今のヒカルにはなかった。


(62)
指でその位置を確かめると、ヒカルは自分の硬くなりきった部位をそこにあてがい
押し進めて来た。
それぞれの内腿を濡らし合う程に、お互いを求めていた。
アキラにはヒカルを止める事は出来なかった。
ヒカルと一つになりたい。深く結びつきたい。
その行為の事で、例え後に誰かにどれだけ責められる事になったとしても、
今はもうその望みを叶える事以外頭になかった。
アキラも腰を浮かし、ヒカルの勢いを漏さず受け止めようと構えた。
鋭い痛みがアキラの体の中心に走り、次第に奥へと広がっていく。
「ううっ…んっ!」
埋め込まれ、腰を突き進めてアキラとヒカルは同時に唸った。
ヒカルは夢中でアキラの腰を押さえ込み、自分を押し包む温かい感触に酔った。
アキラは苦痛で漏れそうになる声を必死で呑み込み、ヒカルを刻々と受け入れた。
それは長い時間のようであり、一瞬のようでもあった。

「んあっ…はああっ!」
ヒカルが自分自身全てをアキラに埋め終わったとほぼ同時に激しく体を震わせた。
アキラも体の奥が甘く痺れるように感じた。
「塔矢…、んん…、とお…や…あっ」
アキラはヒカルの首を抱いて引き寄せ、何度も自分の名を呼ぶその口を唇で塞いだ。


(63)
ヒカルもアキラの体にしっかり腕を回し強く抱きしめる。
生まれて初めて味わう絶頂感に浸り何度も腰を突き入れて来る。
アキラも体内で脈打つヒカルを出来るだけ長く感じていたかった。
ヒカルをずっと胸に抱いていたかった。
自分の中にヒカルが入っている、そう思うだけで体の芯から熱で溶けるような
感覚が続いた。
溶け合ってしまいたかった。
誰にも引き剥がす事など出来ないように。
アキラはヒカルの髪に指を差し入れて撫でた。自分とは感触の違う、仔猫のように
ふわりとした柔らかい髪だった。
しばらくしてヒカル体が重くなったように感じた。
アキラの首元に顔を埋めるようにしてヒカルは寝息を立てていた。
アキラはそーっとヒカルの体から少し離れると、ヒカルの肩を撫でながらもう一度
ヒカルの額にキスをした。

翌朝、裸のまま寝入っているヒカルの隣にはすでにアキラの姿はなかった。
アキラは身支度を整えて洗面台に立ち、顔を洗っていた。
するとそこへ社がやって来た。社は何か言いたげにアキラを見つめていた。
「おはよう、随分早いんだね、社。」
アキラは特に何事もなかったように声をかけた。


(64)
「一応これでも真面目な現役高校生やからな。」
そう答える社にアキラが場所を譲った。社が顔を洗いながら尋ねた。
「…目エ覚めたら、進藤がおらへんのやけど。」
「進藤ならボクの部屋で寝てるよ。」
社は驚いたようにアキラを見た。
「お前らなあ…」
「君のいびきがうるさくて寝られなかったらしいよ。それでボクの部屋に逃げて来た。
で、話込んでいるうちに寝てしまった。ただそれだけだよ。それより社、朝食の
買い出しにつき合ってくれないか。」
アキラに真直ぐに見つめられてそう言われると、社は従うしかなかった。
家から数メートル離れた場所のコンビニに2人で出かける。
五月晴れを思わす、住宅街の静かな朝の光の中でアキラは真直ぐ背筋を伸ばし
先を歩いていく。
社は黙ってそんなアキラを見つめながら後をついていく。

「お前みたいな家の奴でもこういう店使うンか。」
飲み物を選んでいるアキラの背後から社が尋ねる。
「え?普通によく来るよ。今はほとんど一人暮しみたいなものだし。」
そう言いながらも、ジャージ姿の社はともかく、上品なデザインのサマーセーターに
黒髪を揺らすアキラの姿はどことなくコンビニの店内では少し浮いた存在に見えた。


(65)
アキラは自分用にウーロン茶を、ヒカルにオレンジジュースを選んだ。
一つ一つ商品を丁寧に選んでいるアキラの横顔に社は見入っていた。
大阪での一件の後で、こうしてアキラと穏やかに一緒に買い物をする事が出来るとは
思ってもいなかった。
そしてやけに今朝はその横顔がことさらに綺麗に見えた。
「…は平気?」
ふいにアキラがこちらを向いて何かを尋ねて来て、社は我に還った。
「え!?な、なに?」
「納豆おにぎりって、大丈夫かな…。」
「あ、ああ、オレは納豆大好きやで。」
「君じゃなくて進藤だよ。…彼はツナとかサーモンの方が良さそうだな。」
独り言を呟くように言い、アキラはおにぎりやサンドイッチを適当に社が持つ買い物カゴに
入れていく。なんや、と社は不満顔で唇を尖らした。
すると再びアキラがこちらを向き、社は慌てて顔を元に戻した。
「社も食べたいものを何でも選んでいいよ。合宿の食費とかは倉田さんに報告すれば、
後で経費として出してもらえるらしいから。」
「なんや、それを早う言わんかい。」
社は牛乳パック2本やサラダやカップスープの類をカゴに放り込んだ。
「…ほんであの巨体デブそれでガツガツ食っていきよったんやな。」
「そう言えば社だってお寿司は2人前くらいいけるだろ。ひょっとして遠慮してたのかい?
らしくないね。」



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