白と黒の宴3 34
(34)
アキラの悲鳴を聞いたわけではない。
アキラの上半身に縋り付き、アキラの胸に顔を押し付け、社はただ夢中で突き貫いた。
社自身にも痛みが走ったのだから、アキラが受けた苦痛は相当なものだったはずである。
じんと、先端に鈍い痺れのような感覚を感じながら、社は2度3度とアキラの中を抉った。
アキラの両膝が社の腰を強く挟み込んでガクガクと震えていた。
黙らせたかった。
自分の存在が塵に等しいような言い方をする、体の下に組み敷いたはずなのに
誰よりも遠い存在であるかのような目で見る相手に自分を思い知らせたかった。
痛みを与える事で。
荒い吐息に混じって呻き声が聞こえる。
さすがにやりすぎたかと思い、社はアキラの表情を見上げた。
そして息を呑んだ。
社がそこに見たものは、頬を紅潮させ、苦痛に歪むというようりは、
激しい行為に歓喜し恍惚として快楽に喘ぐ、妖しいほどのアキラの媚態だった。
「はあっ…あ…」
苦痛も当然あっただろう。固く目蓋を閉じた為にアキラの睫毛は濡れて
確かにアキラの下肢は小刻みに震えていた。だが、胸元を仰け反らせて僅かに
腰を浮かせ、更なる動きを社に求めているようだった。
「くっ…!」
社は首を振って激しく腰をアキラに打ち付けた。
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