白と黒の宴3 39
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そのままどのくらい時がたっただろうか、
社はゆっくり起き上がると、アキラの身体を抱えてバスルームに運び
自分の愚行に耐えたアキラの身体を湯で流した。
局部まで丹念に手で洗い、そうしながら顔が近付くことがあったが社は
それ以上の事はアキラにしなかった。
アキラの身体をバスタオルで拭き、ドライヤーで丁寧に乾かし整える。
ここへ来た時と同じようにアキラは黙ったまま人形のように社に従った。
そうして互いに身支度を整えると社は紙幣をドア脇の機械に押し込み、
アキラの腕を引いて部屋を出た。
ホテルを出てしばらく歩いた後、終夜営業のファミリーレストランの店内に
2人は居た。
アキラの手首を掴んでいた社の手は、店の入り口に上がる階段の途中で離れた。
互いにコーヒーを一杯注文しただけで、テーブルを挟んでただそれぞれの
カップを見つめていた。
離れた席では同様に電車が動き出すまで過ごす若者のグループが
騒がしく談笑している。
流行りの服装に身を包み、彼等の中の女の子2人がチラチラとアキラと社を見て何か
耳打ちしていた。他の者は仲間と言葉を交わすか携帯で何かひっきりなしに
メールを打ち込むかしている。
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