白と黒の宴3 41


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自分はただ早く事が済めばいいと、ただそう思って天井を見ていた。
社が自分を強く抱きしめ、動かなくなった時、彼が泣いているように感じた。
そんな社がひどく気の毒に思えた。
今回の事は、自分も彼を利用していたところがあった。
自分を取り戻す為に。
それを言葉にしたり詫びるつもりはなかったが。

「…新幹線が動くの、何時やったかな…。朝の上りは、混むやろな…。」
社がボソボソと口を開いた。
「朝いちの新幹線の切符は、もうとってある。」
アキラが答えると、社はムッとした顔になった。
「ホンマにそつがないな、お前は…。」
アキラがクスッと笑った。その笑顔を見て、社は決意したように息をついた。
「約束する。…進藤には手を出さん。」
ハッとしたようにアキラが社を見つめた。今度は社がフッと笑った。
「元々そっちの方に興味があったわけやない。ホンマや。お前やったから…」
社はカップを見つめたままだった。真面目な表情に戻り、手でカップを包む。
「お前やったからや。…せやけど、お前にももう…二度と、何もせん。誓う…。」
アキラは黙って聞いていた。
建物の2階にある店の、窓の外を見ると街並みの遠くの空が白みがかっている。
「そろそろ始発が動くやろ。」
社が腰を上げた。



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