白と黒の宴3 49


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「言い返せよ社!黙ってンのかよ!あんな言い方されて悔しくないのか!」
「悔しいが、オレの力はまだ、言い返せるほどのもんやない―」
アキラが碁盤の準備を整えて「打とうか」と声を掛けると
厳しい表情のままの社とヒカルが振り返った。
合宿はこうしてぎりぎりまで張り詰めた糸のような緊張感の中で始まった。
北斗杯に向けて気を引き締めて行きたい。だが、余裕がなくなるのは
避けたいところだった。
アキラはとりわけヒカルの表情に、いつにない険しさがある事がやはり気になった。
それが打ち合う碁にも現れて来ていた。

最初からそのつもりではなかったのだが、互いに意地を張り合う形になってしまい
朝まで3人で交互に打ち合い続けた。
ただ皆やはり根っからの碁打ちで、対局を始めてすぐにしがらみは消えて
ひたすら疑問手や最良の手を分析する事に全力を傾けていった。
社も疲れがあるだろうに、それを表に出す事なくよく食い下がって来た。
合宿を自宅でする事の承諾を中国にいる両親に一度電話で取り付けた時、
アキラは父親から注意された事があった。
『若い者だけで集まればどうしても勢いが先に立って歯止めが効かなくなる。
私からも倉田くんに頼んでみるが、彼が無理なようであれば緒方くんか芦原くんに
顔を出してもらうようお願いしなさい。』



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