白と黒の宴3 57
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このままヒカルと一体化してしまいたいとアキラは望んだ。
長く、熱いキスだった。
求めるようにアキラが歯列を開くとヒカルが舌を滑り込ませて来た。
アキラも夢中でヒカルの舌を吸った。
ヒカルのまだ乾ききっていない前髪がアキラの額に触れかかってくる。
キスを交わしながらヒカルの呼気が荒くなっていく。
「…塔矢…オレ…」
アキラの体の上で、ヒカルの中心が熱を持って昂っているのを感じた。
心臓が激しく鼓動するのがはっきりと聞こえる。
「ごめん!…オレ、何か変…」
ヒカルはアキラの体を抱いていた両手を片方ずつ離してシーツにつくと、
体を離そうとした。
「最近変なんだ…塔矢の事考えると…寝る時とか…、」
「進藤…」
アキラはそんなヒカルの頬を両手で包んだ。
アキラの心臓も激しく鳴り響いていた。
ヒカルがいつになく激しく興奮し欲しているのは明らかだった。
嬉しかった。自分がヒカルに抱いた不安がそんなヒカルの言葉と行動に掻き消えて行く。
ヒカルが何か張り詰めたものを抱えているのは確かなのだろう。
ならば少しでもそれを紛らしてあげたいと思った。
自分も、解放されたかった。
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