白と黒の宴3 65
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アキラは自分用にウーロン茶を、ヒカルにオレンジジュースを選んだ。
一つ一つ商品を丁寧に選んでいるアキラの横顔に社は見入っていた。
大阪での一件の後で、こうしてアキラと穏やかに一緒に買い物をする事が出来るとは
思ってもいなかった。
そしてやけに今朝はその横顔がことさらに綺麗に見えた。
「…は平気?」
ふいにアキラがこちらを向いて何かを尋ねて来て、社は我に還った。
「え!?な、なに?」
「納豆おにぎりって、大丈夫かな…。」
「あ、ああ、オレは納豆大好きやで。」
「君じゃなくて進藤だよ。…彼はツナとかサーモンの方が良さそうだな。」
独り言を呟くように言い、アキラはおにぎりやサンドイッチを適当に社が持つ買い物カゴに
入れていく。なんや、と社は不満顔で唇を尖らした。
すると再びアキラがこちらを向き、社は慌てて顔を元に戻した。
「社も食べたいものを何でも選んでいいよ。合宿の食費とかは倉田さんに報告すれば、
後で経費として出してもらえるらしいから。」
「なんや、それを早う言わんかい。」
社は牛乳パック2本やサラダやカップスープの類をカゴに放り込んだ。
「…ほんであの巨体デブそれでガツガツ食っていきよったんやな。」
「そう言えば社だってお寿司は2人前くらいいけるだろ。ひょっとして遠慮してたのかい?
らしくないね。」
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