白と黒の宴3 66
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クスリと笑い、明るい表情でそう話すアキラを社は不思議そうに見つめる。
「…なんやお前、昨日までと別人みたいやな…。」
アキラは一瞬ハッとしたように社を見返した。
「そうかな?気のせいだよ…。」
家に戻ると中は静かで、まだヒカルが起きている気配はなかった。
「オレが起こしてくるわ。塔矢の部屋、この奥やろ?」
アキラは少し慌てた。ヒカルは裸のままで眠っているはずだからだ。
「いいよ、社、ボクが起こすから…!」
思わず社の腕を掴んだ。
「何や、マズい事でもあるんか」
社がニヤリと笑う。アキラは言葉に詰まったが、とにかく社を自分の部屋に
行かれては困る。だが社はアキラに掴まられているのもものともせず
ズンズンと奥の部屋に向かっていく。
「ダメだってば、社…!」
社の手がアキラの部屋とおぼしき場所の戸にかかった。
それが一気に開けられ、アキラは息を飲んだ。
「どこ行ってたの?塔矢と社」
2人が振り返ると歯ブラシを銜えたパーカー姿のヒカルがきょとんとして立っていた。
部屋はもうもぬけの空で、布団が隅に畳んであった。
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