病床小アキラ 10


(10)
 アキラくんの背中を優しくポンポンしていると、次第にアキラくんのまぶたが下がってきました。
「おがたくんのね、――だよ……?」
 おでこを何度もスリスリしながらだったので、はっきりとは聞こえません。緒方さんは一瞬背中を
叩く手を止めて、アキラくんのチェリーの唇を見つめました。
「――え?」
「うさぎちゃん、ってボクいったよ?」
 ああ、さっきのしりとりのことか。緒方さんは微笑して背中ポンポンを再開させました。
(うさぎちゃんじゃなくてリンゴって言っただろ、キミは)
 アキラくんはしりとりのシステムを理解するまでに「リスちゃん!」だの「くまさん!」だの
「プーちゃん!」だので散々自滅していて、今回のしりとりがはじめて長く続いたものなのですが、
今はとても眠いのでしょう、いつもの調子に戻ってしまいました。
「ああ、それはオレが負けちゃったんだよ。次が思いつかなくてね」
「なぁんだー」
 アキラくんは満足げににっこりと笑うと、また緒方さんの胸のシャツをきゅっと掴み直します。

 やがてアキラくんがすぅすぅと寝息を立て始めるまでに、それほど時間はかかりませんでした。



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