病床小アキラ 13


(13)
「まだ少し熱があるな……。まぁ、薬を飲ませるほどではないかもしれんが…」
「ん……ぅ?」
 お父さんの声が聞こえたのか、はたまたやっぱりお父さんの手が冷たくてびっくりしたのか、
アキラくんは2人の見ている前でぽっかりと目を開けました。
「――アキラ。具合はどうだい?」
 アキラくんを起こしてしまったことに気づいて固まってしまったお父さんは、すぐに我に返って
アキラくんの頭を優しくナデナデします。
「あ…おとうさんだ〜」
 不思議そうに緒方さんを見上げて、そしてすぐお父さんに気づいたアキラくんは手を伸ばして
お父さんにだっこをせがみました。
 お父さんは目を細めてアキラくんを抱き上げます。腕の中の温かい重みがなくなり、緒方さんは
その代わりにアキラくんがくるまっていた毛布を抱きしめました。
「私がいない間、いい子でねんねしてたかい?」
「うんっ。ねぇおがたくん」
 アキラくんは目をキラキラさせながら、立ち上がった緒方さんの眼鏡に手を伸ばします。するり
と眼鏡を取りあげられても緒方さんは慌てず、アキラくんのぷくぷくしたほっぺに手の甲で触れました。
「ええ。――とてもいい子でしたよ」
 部屋の真ん中で大人2人が子供をあやす様子は少し不気味でもありましたが、幸いなことにその
ことを突っ込む人は誰もいませんでした。



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