白と黒の宴 16


(16)
「…?」
初めは気のせいかと思った。緒方はもう一度息をひそめて静かに様子を伺うと声は
寝室から確かに聞こえる。止む気配はなく、次第に苦し気に強まっていく。
緒方はドアにそっと近付いた。

誰かが自分の体の上にのしかかっているような圧迫感を感じる。さっきまで寒気を感じていたのが
今は体の中が熱い。息が苦しい。心臓が激しく脈打っている。
「はああっ…」
首筋を、胸の突起の周囲を、陰部を、そしてその奥の部分をちろちろと熱い火が這い回っている。
社が残した箇所にも火が点り熱を放つ。
「い…や…」
火を払い除けたいが腕が思うように動かせない。それよりもっとはっきりした
刺激を体がもとめて上半身を仰け反らせて、徐々に足を開いてしまう。
「うう…ん…」
体の奥深くがどうしようもなく疼く。だが表面を動く炎はそこには来てくれない。
ただ弄ぶように中途半端にアキラを昂らせては消え、また点っては嬲る。

「アキラくん…?」
夜中になって熱が上がってうなされているのだと思い、緒方は寝室のドアを開けた。
そして目に入った光景に言葉を失った。



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