白と黒の宴 18 - 19


(18)
炎の中でアキラはもがいていた。
望むものを与えてくれない淫火を払い除け、代わりに自らの手で自身に刺激を加える。
頭のどこかでそれを浅ましいと思いながら止める事が出来ない。
自分の部屋で深夜その悪夢に目覚め、悪夢の続きのまま自慰にふけることがあったが
最後まで行き着く事はどうしても出来なかった。
ましてやここは緒方の寝室だ。
そんな場所でいけない事をしているという意識がさらに情欲を掻き立てる。
ふいに、その両手を捕らえられたのだ。

「う…ん…」
数度不自由な手首を引き抜こうと動かそうとし、それと供にゆっくりと覚醒するように
アキラの瞳が目の前の緒方の顔に焦点をあてはじめる。
「…緒方…さん…?」
何故、こんな間近に緒方の顔があるのか、そして何故自分が押さえ付けられているのか
アキラはぼんやりと考えていた。
次の瞬間自分がほぼ全裸の状態である事に気が付き、小さく悲鳴を上げかけた。
が、すぐに声を飲み込んだ。
…違う、ボクだ。ボクが自分で…
夢の中と現実の境界線で自分が何をしていたか、アキラには分かっていた。
そしてそれを緒方に見られた、と瞬時に理解した。
全身の血が逆流するような恥ずかしさ頬を紅潮させアキラは緒方の視線から顔を背けた。


(19)
何か自分の体を隠すものが欲しかった。アキラはシーツに横顔を押し付けたまま両手を
動かそうとするが、それをさせまいとするように緒方が手の力を強める。
「緒方…さん!?」
緒方の突き刺さるような視線を感じる。その視線は何ひとつ見落とす物を許さないというように
アキラの体の上を隅々まで観察し冷静に移動している。
「緒方さん…!」
横を向いて目を閉じたままアキラは再度懇願するように泣き声混じりに訴える。
早くこの状態から解放して欲しかった。
ベッドの横から片膝を乗り上げて左側からアキラの体を押さえ込んでいる緒方の目から隠すように
アキラは膝を立てて曲げ、反対の右側に腰からひねるようにして倒した。
だが下肢で依然熱を保ったまま血液を溜め込みそそり勃ったその先端は、アキラの意識とは裏腹に
冷徹な観察者の視線に敏感に反応し、新たな透明な雫を溢れさせた。
反り上がってほぼ先端が腹部に接しているために溢れ出た透明な雫は
アキラの腹部を伝わってシーツまで届いた。
それ以上の身動きが出来ないまま、アキラは緒方の視線の下にいた。
あまりの恥ずかしさにアキラは涙ぐみ、消えてしまいたいと願った。
緒方の思考が読めなかった。ただ無言でアキラの肉体を目で犯し続ける。
まるで飢えた獣の前に裸で柱に縛り付けられているような感覚がした。
そして、研究会の連中や社に同じようにされた時の記憶が蘇って来た。



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