白と黒の宴 19


(19)
何か自分の体を隠すものが欲しかった。アキラはシーツに横顔を押し付けたまま両手を
動かそうとするが、それをさせまいとするように緒方が手の力を強める。
「緒方…さん!?」
緒方の突き刺さるような視線を感じる。その視線は何ひとつ見落とす物を許さないというように
アキラの体の上を隅々まで観察し冷静に移動している。
「緒方さん…!」
横を向いて目を閉じたままアキラは再度懇願するように泣き声混じりに訴える。
早くこの状態から解放して欲しかった。
ベッドの横から片膝を乗り上げて左側からアキラの体を押さえ込んでいる緒方の目から隠すように
アキラは膝を立てて曲げ、反対の右側に腰からひねるようにして倒した。
だが下肢で依然熱を保ったまま血液を溜め込みそそり勃ったその先端は、アキラの意識とは裏腹に
冷徹な観察者の視線に敏感に反応し、新たな透明な雫を溢れさせた。
反り上がってほぼ先端が腹部に接しているために溢れ出た透明な雫は
アキラの腹部を伝わってシーツまで届いた。
それ以上の身動きが出来ないまま、アキラは緒方の視線の下にいた。
あまりの恥ずかしさにアキラは涙ぐみ、消えてしまいたいと願った。
緒方の思考が読めなかった。ただ無言でアキラの肉体を目で犯し続ける。
まるで飢えた獣の前に裸で柱に縛り付けられているような感覚がした。
そして、研究会の連中や社に同じようにされた時の記憶が蘇って来た。



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