白と黒の宴 2
(2)
手首にはまだうっすらと社に掴まれた指の痕が残っている。
袖ごと緒方に掴まれているので見つけられる事はないだろうが、フラッシュバックのように
あの時の社の手の感触が手首から首筋にまでかけてアキラの身体の皮膚に近い部分を走った。
「よかったら続きを見せてくれないか、アキラくん。」
緒方が手を離し、断る理由を見つけられずアキラは言われた通りに緒方の視線の下に
あの時の棋譜を並べた。
ある意味、あの時の痕跡に苦しめられているのは大阪の自宅に戻った社も同じだった。
「ア…アッ!ハルくん、…すごい…!!」
何人かいるSEXフレンドの中でも特上クラスの少女を選んだつもりだった。
ベッドを激しく軋ませて相手の中を突き掻き回す。形の良い乳房を荒々しく揉みほぐす。
そうして自分自身もようやく到達し―もちろん、相手が相手なのでゴムの中に、そして
ハアハアと息を荒気て早々に抜き出てベッドに横になり、少女に背を向ける。
「…ハルくん…?」
肩まである、最近では珍しいストレートの黒髪をかき上げながら少女が社の首に腕を回して来た。
いつもならそのまま二戦、三戦に突入するのが一度で終わった事に不満を持ったようだった。
「今日はもう終わりや。帰れ。」
蜘蛛の巣のように絡みつく少女の細い腕を鬱陶しそうに払いのけて社はベッドから降りた。
「…東京から帰って来てから、ハルくん、何かおかしいわ。みんなそう言うてる。」
「帰れったら帰れや。」
渋々少女がベッドの反対側に降りて服を着始め、髪をとかす。
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