病床小アキラ 2
(2)
「アキラくん、風邪ひいたんだって?」
緒方さんはアキラくんのおうちに着いてすぐにアキラくんのところに
来てくれました。いつもは玄関に掛けるはずのコートも腕に掛けたままです。
「可哀相に……」
「おがたくん、おそとであそんじゃだめ〜?」
緒方さんは困った顔でアキラくんの髪を撫でました。緒方さんの手は冷たくて、
アキラくんの熱いおでこを気持ち良くしてくれます。
「アキラくんはまだ熱が高いから、今日はおふとんの中で我慢してねんねしてなきゃね」
「だって……ヤなんだもん」
アキラくんは赤い顔をして緒方さんを見上げました。『なあに?』と緒方さん
はアキラくんの髪やほっぺたを一層優しく撫でてくれます。
「おがたくんは、おうちでひとりでもさびしくないの?」
「アキラくん……寂しかったの?」
緒方さんは問い返しましたが、すぐに『そうだね、ひとりは寂しいよね』と
独り言を言いました。アキラくんの大きな目から、今にも涙が零れそうだったからです。
|