白と黒の宴 2 - 3


(2)
手首にはまだうっすらと社に掴まれた指の痕が残っている。
袖ごと緒方に掴まれているので見つけられる事はないだろうが、フラッシュバックのように
あの時の社の手の感触が手首から首筋にまでかけてアキラの身体の皮膚に近い部分を走った。
「よかったら続きを見せてくれないか、アキラくん。」
緒方が手を離し、断る理由を見つけられずアキラは言われた通りに緒方の視線の下に
あの時の棋譜を並べた。

ある意味、あの時の痕跡に苦しめられているのは大阪の自宅に戻った社も同じだった。
「ア…アッ!ハルくん、…すごい…!!」
何人かいるSEXフレンドの中でも特上クラスの少女を選んだつもりだった。
ベッドを激しく軋ませて相手の中を突き掻き回す。形の良い乳房を荒々しく揉みほぐす。
そうして自分自身もようやく到達し―もちろん、相手が相手なのでゴムの中に、そして
ハアハアと息を荒気て早々に抜き出てベッドに横になり、少女に背を向ける。
「…ハルくん…?」
肩まである、最近では珍しいストレートの黒髪をかき上げながら少女が社の首に腕を回して来た。
いつもならそのまま二戦、三戦に突入するのが一度で終わった事に不満を持ったようだった。
「今日はもう終わりや。帰れ。」
蜘蛛の巣のように絡みつく少女の細い腕を鬱陶しそうに払いのけて社はベッドから降りた。
「…東京から帰って来てから、ハルくん、何かおかしいわ。みんなそう言うてる。」
「帰れったら帰れや。」
渋々少女がベッドの反対側に降りて服を着始め、髪をとかす。


(3)
その後ろ姿を横目で見ながら社はその少女を選んだ理由に自分自身呆れ、苦笑いした。
さっきまで少女の胸を揉んだ自分の手を見つめ、感触を消そうとするようにごしごし
ベッドカバーに擦り付ける。
余分な肉の塊だ。少女の体の表面も内部もひどくぶよぶよして気持ち悪かった。
妙に媚びるような甘ったるい声もわざとらしい表情も嫌だった。
塔矢アキラの代わりとなるものなどない。それを確かめる為に少女を抱いたようなものだった。
あの時まで同性を抱きたいなんて思った事などなかった。
それほどにアキラは魅惑的だった。
塔矢アキラが持つ美しさはそこらのテレビタレントやグラビアアイドルの美少女とは全然違う。
アキラの髪はまるで一枚の絹の布のように絡まる事なく指先の合間からサラサラ流れ落ちた。
元々社は性的な興奮を高める対象を求める行為に興味が薄かった。年頃になって体がそういう
要求をするようになると手頃な異性が向こうから周囲に寄って来た。
体格に恵まれ運動神経も良かったので碁を打つ傍ら運動部の助っ人にかり出される事もあった。
世程気に入った相手とでなければ余分な会話をしようとは思わなかった。
そう言うところが女性の興味を惹くものらしい。
その自分が強烈に惹かれた。塔矢アキラに。
初めてアキラを見かけた時、碁だけではない、アキラの肉体が持つ価値を直感で感じ取った。
直感は当たった。服を脱がせてみると肩幅こそそこそこ少年体型のものはあるが想像以上に
美しい骨格だった。驚く程ウエストが細く華奢だった。
そしてどこを触れてもしっとり手に馴染む滑らかな肌をしていた。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル