白と黒の宴 20 - 21


(20)
彼等が押さえ付けたその状態のアキラにどんな事をしたか。
次の瞬間体の奥が甘く痺れるような電流が何度か走り、呼吸が早まり、動悸が激しくなった。
「あっ…あ」
自分で制御出来なかった。それは急速に高まって膨れ上がり、出口に向かう。
「緒方さ…っ」
ビクンッと全身が震えた。
「…ない…で…」
体が痙攣し温かい体液が腹部に降り掛かるのをアキラは感じた。
感情をなお見せない緒方の眼下でアキラは射精してしまったのだ。
自分で自分が信じられず、激しいショックにアキラは打ちひしがれた。
「…誰が、お前にそういうことを教えた。」
静かに緒方が言葉を発した。アキラはドキリとした。
「相手は誰だ」
緒方は押さえているアキラの手首に残る指の痕を親指で撫で、アキラの胸や腕の内側の
肌の柔らかい部分を狙ったように残された刻印を顎で指し示す。
「…進藤か」
弾かれたようにアキラは緒方を見て、首を横に振った。
「違う…進藤はこんな…」
緒方の目は、分かっているというふうだった。ただ確認しただけのようだった。


(21)
アキラと緒方の視線が合った。緒方の瞳をメガネを外した状態で間近に見るのはこれが初めてだった。
髪と同様に色素の薄い茶系の瞳。
薄暗い間接照明の中でもそこにはただならぬ気配を漂わせていた。
それが怒りなのか、自分に対する蔑みなのかはアキラには分からなかった。
ただ、緒方の自分を見つめるその目付きには、見覚えがあった。
『…ずっとオレはあんたを見て来たンや…』
獣のように唇を貪りながらアキラを欲した社の目だ。
「無理矢理だったのか。…それとも…」
緒方の次の言葉を予測して微かにアキラの唇が震えた。
「…誘ったのか。」
アキラは目を閉じた。事務所の中に落ちていたチケットの切れ端から緒方は何もかも見抜いている。
おそらくその相手とアキラはここに来たのだと。そして何かがあったのだと。
鍵を持っているのがアキラである以上引き入れたのはアキラであると。

『誘ったのはそっちや…!』
社の言葉がアキラの頭の中でくり返される。
『欲しいんとちゃうんか』
そして、自分が社に言った言葉も覚えている。
『…動いて…もっと…激しく…。…痛くても…いいんだ…』



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