病床小アキラ 25


(25)
 アキラくんはとてとてと8歩ほど不器用に歩き、辿り着いた縁側にかかっているカーテンを開け
ました。雪はもう降ってはいませんでしたが、太陽に照らされながらもまだ大分積もっています。
「うさぎちゃん、いるかなぁ…」
 ガラス越しにめいっぱい背伸びをして、アキラくんはドキドキしながら昨日緒方さんが見つけて
くれたウサギを探しました。
 『もしかしたら、明日の朝にはいなくなってるかもしれないね』――ごはんを食べている間に冷
たくなってしまったお布団を暖めながら、緒方さんはそんなことを言ったのです。アキラくんはウ
サギのことが気になって気になって、とても眠れそうにありませんでしたが、またぽつりぽつりと
お父さんと緒方さんが低い声で話をしはじめたのでいつのまにか眠っていたのです。
 ガラスにしがみつくように背伸びをしながら、太陽がキラキラと反射するお庭を、アキラくんは
目を一生懸命こらして見回しました。ですが、お庭はただただ白い雪が積もっているだけです。
「いないねえ…」
 アキラくんはがっかりして呟くと、頑張って伸ばしていた足をすとんと落としました。



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