病床小アキラ 26


(26)
 心ががっかりしたせいか、急にとても寒くなったような気がします。アキラくんは自分のお部屋
に戻ろうと、冷たいガラスから手を離しました。
 お父さんのお布団に潜り込もうか、それとも緒方さんのお布団に潜り込もうか、アキラくんは
少し悩みながら、お庭を眺めて歩きます。お庭には、お父さんが子供の頃からある池があって、
そこには大きな鯉がいます。アキラくんはよくそこでお菓子を鯉にあげているのですが、その池の
囲いになっている大きな石の上に、白いかたまりを発見しました。
「……あっ」
 アキラくんは小さく叫ぶと、たどたどしくガラスの鍵をカチャカチャと回しました。
「も〜〜あかないよぅ」
 この家もアキラくんが生まれるずっと前から建っているので、なかなか頑固な作りになっています。
 今までに2回この戸を開けることに成功したことのあるアキラくんは、地団太を踏みながら何度も
頑張りました。
 アキラくんが頑張ったおかげで、やがて三日月の形をした鍵はカシャンと外れ、アキラくんが
『えいっ』と力を込めてガラスを横にずらすと冷たい空気が一気に入ってきました。



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