白と黒の宴 26 - 27
(26)
「い、いや…っ!!」
たまらず上半身を起こしてアキラはベッドの向こうへ手を伸ばした。だが緒方に引き戻され
腰を高く突き上げたほぼ四つん這いの状態にさせられた。
谷間の奥の慎ましやかだった窄まりは十分の唾液と刺激を与えられて膨らみあがり、
過去の記憶を蘇らせてさらなる熱と昂った異物を求めるように喘ぎ始める。
その部分に硬く尖らせた舌を差し込まれ確実に受け入れる準備を整えさせられる。
アキラはもう、声を出す事もなくシーツに顔を伏せ、全てが早く終わる事だけを祈った。
だが男のモノをそこに受け入れると言う事は、何度経験しても恐怖感がなくならなかった。
舌に代わって緒方の長い指が差し込まれる。
「う…ん…」
切な気にアキラは声を漏らした。数日後には対局で向き合う相手の指が今は
自分を陥とそうと内部で動いていた。
緒方がこの部屋に入ってくる前から既にそこは普通の状態ではなかった。
おそらく何人もの女性と交渉経験を持つ緒方には分かるはずだ。社にすら気付かれたのだから。
だが緒方は何も言わず、ガウンを脱ぎ下に履いていた物を脱いだ。
その気配は感じたがアキラは緒方の方を見なかった。
やがて熱い、何かとてつもなく大きな塊がその部分に触れて来た。
アキラは強く目を閉じ、唇を噛み締めてシーツを強く握った。
だが悲鳴を押さえる事が出来たのは最初のほんの数秒だけだった。
(27)
体内に炎を宿しているのは自分だけではないのだとアキラは感じた。
今、その別な大きな炎がゆっくりと動き、自分の中に侵入しようとしている。
それはアキラとは比べ物にならない位、おそらくもう長い間、誰にも知られる事なく
静かに激しく彼の意識の下に隠されて存在してきたものなのだろう。
『緒方さん』
彼にそう呼び掛け駆け寄っていったのは常に自分の方からだった。
父と母の姿が見えない時は彼の姿を探した。
どんなに離れた場所に居ても、雑踏のざわめきの中でも彼は自分の声を聞き取り
傍に行くまで待っていてくれた。
その時返って来るのは、あまり自分以外には彼が周囲に見せない優しい笑顔で
ある事が多かった。その事に密やかな優越感を持つ事すらあったのに。
「…緒方さん…」
殆ど伝わらないくらいの小声で呟く。今の緒方は、アキラが知らない緒方だった。
緒方は表情なくアキラと自分の肉体の一部の接点を見つめる。
自分の腰幅より遥かに狭い小ぶりの臀部の谷間が無惨に引き広がり、淡く褐色づいた
中央の小門が鮮血を滲ませて緒方の昂りを受け止めようとしている。
少女のような白くほっそりした背中からウエストにかけてのラインが汗に濡れて震えている。
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