病床小アキラ 29


(29)
 アキラくんは踏み切りのタイミングを若干しくじってしまいましたが、両手両足をバンザイして
アキラくんなりに精一杯高くジャンプしました。
 真っ白い地面が一度遠くなって、それからどんどん近付いてきます。
 冷たい風がアキラくんのほっぺたを遠慮なく叩くので、アキラくんは目を開けていられずにとう
とう目をぎゅっとつぶってしまいました。
「きゃ〜〜」
 アキラくんは小さく叫んで、バンザイのまま地球の重力にまかせてゆっくりと落ちていきました。
 ところが、ふわふわの雪へダイブする瞬間のことです。アキラくんの身体は空中で止まってしまっ
たのです。
「んう?」
 アキラくんが首を傾げていると、今度はふわっと身体が持ち上がり、アキラくんはひゅるひゅると
テープが巻戻されるように逆戻りしていきました。アキラくんがそれでもバタバタと手と足を動かし
ていると、やがてすっぽりと暖かい温もりに包まれます。
 外に出ていた手足は思ったよりもずっと冷えていたようで、温もりに包まれるとピリピリと痛い
ほどに痺れてきました。アキラくんは身体を小さく縮こめて、ジンジンする痛みを堪えています。
「……アキラ」
 しばらくして頭の上から聞こえてきた声に、アキラくんは指をグーにしたままぴきっと固まって
しまいました。
 ぬくぬくの正体はお父さんでした。



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