白と黒の宴 3


(3)
その後ろ姿を横目で見ながら社はその少女を選んだ理由に自分自身呆れ、苦笑いした。
さっきまで少女の胸を揉んだ自分の手を見つめ、感触を消そうとするようにごしごし
ベッドカバーに擦り付ける。
余分な肉の塊だ。少女の体の表面も内部もひどくぶよぶよして気持ち悪かった。
妙に媚びるような甘ったるい声もわざとらしい表情も嫌だった。
塔矢アキラの代わりとなるものなどない。それを確かめる為に少女を抱いたようなものだった。
あの時まで同性を抱きたいなんて思った事などなかった。
それほどにアキラは魅惑的だった。
塔矢アキラが持つ美しさはそこらのテレビタレントやグラビアアイドルの美少女とは全然違う。
アキラの髪はまるで一枚の絹の布のように絡まる事なく指先の合間からサラサラ流れ落ちた。
元々社は性的な興奮を高める対象を求める行為に興味が薄かった。年頃になって体がそういう
要求をするようになると手頃な異性が向こうから周囲に寄って来た。
体格に恵まれ運動神経も良かったので碁を打つ傍ら運動部の助っ人にかり出される事もあった。
世程気に入った相手とでなければ余分な会話をしようとは思わなかった。
そう言うところが女性の興味を惹くものらしい。
その自分が強烈に惹かれた。塔矢アキラに。
初めてアキラを見かけた時、碁だけではない、アキラの肉体が持つ価値を直感で感じ取った。
直感は当たった。服を脱がせてみると肩幅こそそこそこ少年体型のものはあるが想像以上に
美しい骨格だった。驚く程ウエストが細く華奢だった。
そしてどこを触れてもしっとり手に馴染む滑らかな肌をしていた。



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