病床小アキラ 3


(3)
「オレがここにいたら、アキラくんは寂しくない? 我慢して寝ていられるかな?」
 アキラくんは眉を寄せて一生懸命考えます。ですが、考えているうちに何を考えているのか
わからなくなってきました。頭を右にやったり左にやったりして考えています。
「……わかんない……」
「ハハハ。わかんないか」
 緒方さんはアキラくんの傍らであぐらをかくと、持っていたビニール袋を持ち上げました。
「アキラくんにおみやげ買ってきたんだよ。プリン食べる?」
「ウン」
 プリンはアキラくんの大好物です。いつものようにお布団の中から起き上がろうとしましたが、
どうしてか力が入りません。緒方さんに手を引っ張ってもらって抱き起こしてもらいましたが、
今度は目がぐるぐる回って座っていられなくなりました。
 とてもプリンを食べられる状態ではありません。
「おとうさんは〜?」
 お布団の中に潜り込んで、アキラくんは緒方さんに訊ねました。
 緒方さんは困ってしまいました。というのも、アキラくんのお父さんはどうしても休めない
お仕事に出かけてしまったからです。
 言おうか言うまいか、緒方さんはしばらく逡巡しましたが、アキラくんに嘘を言うわけにも
いきません。緒方さんはアキラくんのおでこに手をあてて熱を計りながら口を開きました。
「先生はね、どうしても行かなきゃならない仕事に行っちゃったんだよ」
「………そうなの……」
 アキラくんは途端にガッカリしてしまいました。悲しくなったのか、お布団を顔の上までひっぱり
あげてアキラくんはぐずりはじめてしまいます。
「アキラくん、泣いちゃったらもっと頭がガンガンしてくるよ?」
 緒方さんはお布団を少し捲り上げて、アキラくんの涙に濡れた頬をタオルで拭いてあげました。



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