病床小アキラ 30


(30)
「あ……おとうさん」
 アキラくんは強ばっていた指をゆっくりと開くと、グーパーを繰り返しました。
 お父さんは厳しい顔でそんなアキラくんを見つめています。その怖さといったら、アキラくんが
もっと小さいときに碁石を口にいれてしまったときと同じ顔でした。
 アキラくんは目をぎゅっとつぶって首を竦めました。
 怒られてしまうに違いないと思ったからです。
「アキラ。こんな薄着で飛び出して…、どうするつもりだったんだ?」
 しかし、お父さんの声はいつものように穏やかで、アキラくんはそっと目を開けました。
 ドキドキしながらお父さんを見あげて、そしてアキラくんはきゅっとその懐に抱き着きました。
 そして後ろを振り返り、池のほとりの大きな石を指差します。
「うさぎちゃんが、あそこにいるみたいだったの」
「うん?」
 雪をかぶった石の上には、相変わらずウサギがしゃがんでいるように見えました。
「早く見に行かなきゃ、いなくなっちゃうでしょ。それに、おそとはさむいから、こごえちゃうもん」



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