白と黒の宴 30 - 31
(30)
「…く…う…」
他に例えようのない苦しさにただ低く呻き緒方の胸に身体を預ける。
快感など感じていたつもりはなかったが、腸壁を限界まで押し広げて擦り上げられた
凄まじい刺激にほとんど条件反射的に精を吐き出させられたのだ。
両膝の下から手を抜くと緒方はそんなアキラの上半身に腕を回した。
体内で緒方自身をきつく締め付けながらアキラの身体は緒方に強く抱き締められた。
…震えてる?…緒方さんも…
怒りからなのか、何か別の感情からなのか、微かだったが、アキラを抱く緒方の腕や肩は
確かに震えていた。
その手でアキラの顎を拾い横に向かせて、緒方が唇を重ねて来る。
先刻までの荒々しい行為とうって代わって柔らかなキスだった。
恐怖心で開けられなかった目を恐る恐る開き、アキラは緒方を見つめる。
「…軽蔑してくれていい…」
唇の先を触れ合わせたまま緒方が言葉を発する。
唇は何度も重ねられ音を立ててアキラの舌を探り吸い取る。
そこには多少人間的な感情を取り戻した風があった。だがアキラを捕らえられた腕の力は
緩められる事なく手が指先がアキラの身体を弄り始める。
長く愛撫されて敏感なままの胸の突起に再び刺激が加えられる。
「ふ…う…んっ」
乳首を弄られる感触に反応してアキラの体内が締まると、それに呼応するように緒方自身が
脈打ち、更に膨れ上がって内部を押し広げアキラに切ない悲鳴を漏らさせる。
(31)
アキラの唇から離れた緒方の唇は、アキラの首から肩にキスをくり返し、片手で胸の突起を弄り、
片手を下の方に滑らせて行く。
激痛の座に腰を埋めながら加えられる甘い刺激に反応し蜜を先端から滴らせる果肉を捕らえる。
「うう…ん…っ、う…ん…」
打ち込まれた杭の強大さに動く事も出来ず、ただ人形のように緒方の膝の上で
緒方に施される指の動きに従って止めどなく吐息を漏らす。
体内に異物を奥深く押し込められた苦しみと、局部に与えられる快感に揺さぶられ、
身体が次への段階を求め始める。
気がつくとアキラは自ら腰を左右に揺らしていた。
それを待っていたかのように緒方もゆっくりと腰を動かした。
「あ…あ…っ」
結合した部分が軋み、新たな痛みと同時により深い感触がアキラの下腹部を犯す。
痛みを拒否する事より更に刺激を得る事を選ばさせられる。
互いの腰の動きが大きくなるにつれてアキラは後ろ手に彷徨わせた手を緒方の首に回し
緒方の髪を掴んでいた。
自分のものとは違う質の柔らかなウェーブのかかった薄茶の髪を乱した。
緒方の中の炎と自分の中の炎が結びつき一体化するような錯角が走った。
緒方の身体も自分の身体も、自分の中の奥深くにある緒方自身も燃えるように熱かった。
「…っと…もっと…」
無意識に言葉を吐き、アキラは自ら腰を浮かし、沈めるという動きを始めていた。
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