病床小アキラ 34


(34)
 アキラくんはパチパチと目をしばたかせると、緒方さんのほっぺたに押し付けていた両手を
自分のほっぺたにくっつけました。緒方さんのおかげで温かくなったのか、アキラくんの手の
ひらはひやっともしません。アキラくんは眉根を寄せました。
「あれぇ?」
 小さく首を傾げて、アキラくんは緒方さんの顔に自分の顔をぐぐっと近づけます。
「おがたくん、おかおまっかね」
「そう……?」
 緒方さんは億劫そうに枕元に手を伸ばすと、置いていた銀色のフレームの眼鏡を取り、ノロ
ノロと耳にかけました。眼鏡をかけていても視線をあちこちに動かすことが苦痛で、そしてこ
の感覚には覚えがありました。
 発熱です。
「しまったな。熱が出たか…」
 緒方さんは舌打したい気分になりました。
 自分の手で額に触れても、同じく体温の上がった手のひらでは熱のあるなしがわかるはずも
ありません。しかし緒方さんは、切ない気分で手の甲をおでこに乗せてみました。
 先程からの悪寒はずっと続いていて、あまり楽しくない予想が脳裏を駆け巡っています。



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