病床小アキラ 35


(35)
「ええっ! おがたくんもおねつがでちゃったの〜?」
 アキラくんは驚いて、それから慌てて緒方さんの身体の上から降りました。緒方さんの顔の
前にちょこんと正座をし、心配げに首を傾げています。緒方さんは自分に熱があることを知り
余計辛くなったようでした。腕を額の上に乗せて、深く溜息を吐いています。
「多分ね。……アキラくん、お父さんは?」
「おそとに出るの。おがたくんにあっためてもらいなさいって」
「そう。……入る?」
 緒方さんはお布団の端を持ち上げて、アキラくんに『おいで』と促します。しかしアキラく
んは頭をフルフルと振って立ち上がりました。
「ボク、おとうさん呼んでくるね!」

 そのころ、お父さんはアキラくん用タンスの前に座り、アキラくんに穿かせる真っ白なタイ
ツを探していました。長袖のネルシャツと白いタイツの上から黄色のぷーちゃん着ぐるみを着
せ、それから半纏と靴下と長靴で防寒対策はバッチリです。もちろん手袋とマフラーと帽子は
必須なのですが、それらは既にコタツの中に入っていました。


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12-891 :のんびり屋sage :02/08/12 21:25 ID:???
「明子は…確かここにいれていたはずなんだが……」
 お父さんはゴソゴソとアキラくん用タンスを漁っています。アキラくんのタンスの引き出し
の中はパンツもシャツも全部真っ白なので、洗濯物に慣れていないお父さんはもう何が何やら
訳が分りません。
「あれが旅行に行く前に、聞いておくべきだったな」
 お父さんは呟いて、ガコンと引き出しを閉めました。溢れかえったアキラくんのおパンツが
少しはみ出ているのはご愛敬です。
 何気なくお父さんが一つ上の足袋専用引き出しを開けてみると、整然と並べられた白や黒の
足袋の隙間に、丸く畳まれたアキラくんの厚手の白いタイツを発見しました。
「ああ、あったあった」
 小さく畳まれたタイツは握り締めると丁度いい感じに弾力があり、手のひらのコリが解され
ていくような気がします。お父さんはしばらくグニグニとアキラくんのタイツを握り締めて、
手のひらをリラックスさせるのに夢中になってしまいました。
「あっおとうさん!」
 そんな時です。てててててっと小さい足音が聞こえてきて、アキラくんが鉄砲弾のようにお
父さんの膝裏に抱き着いてきました。お父さんは膝がカックンとなるのを辛うじて堪えます。
「おがたくんが、たいへんなの!」



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