病床小アキラ 41


(41)
 お父さんに手伝ってもらって不器用にタイツを履き、そして黄色の着ぐるみをすっぽり被っ
てフードまで被ったアキラくんは、親バカがそうさせるわけではありませんがとても可愛く、
お父さんは目を細めてフフと笑み零れてしまいます。
 お父さんは音も立てず立ち上がると、落ちていた半纏を拾い、アキラくんの小さな肩にか
けました。
「さあ、天気がいいうちに外に出よう。……だが、寒くなったらすぐに中に入るんだ」
 お父さんはキンと冷えている廊下に一足早く出て、アキラくんを手招きしました。
 ですが、アキラくんは緒方さんのお布団の傍に立ったまま、やはり両足の親指を擦り合わ
せてモジモジとしています。
「――アキラ?」
 その場から動こうとしないアキラくんを訝しんだお父さんがアキラくんの名前を呼ぶと、
アキラくんはそこにペタンと座り込んでしまいました。肩にかけたぷーちゃん半纏がパサリ
と音を立てて畳の上に広がります。
「外に行かないのか?」
 お父さんの問いに、アキラくんはコクリと頷きました。
「だって、おがたくんがひとりになっちゃうもん」



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