白と黒の宴 51 - 55
(51)
雫が滴る程にアキラも、そして緒方も相手を求め合っていた。その緒方の先端を腰の奥に
飲み込まされ、片足を浮かされた不安定な状態でアキラは壁際でもがいた。
「はあっ…はっ…!!」
壁を這う手が傍に合った本棚を掴もうと彷徨う。
緒方が首に掛かっていた自分のネクタイを取るとそれでアキラの両手首を合わせて縛った。
「い、いや…っ…」
拒絶する間もなく両手首を拘束されるとそのまま頭上に合った照明の金具に結わえ付けられた。
「あ…あ…」
釣り下げられるとまでは行かなくてもつま先立ちで身体を伸ばされる格好でアキラの自由は完全に奪われた。
恐怖で身体が震えながらもアキラの下肢は依然何かを期待したまま更に熱く高まっていた。
それに応じるようにアキラの両足を抱え込む格好で緒方は2度3度腰を突き入れ、
全てをアキラの中に埋めた。
声にならない悲鳴がアキラの唇から漏れ、ガクガクと全身を震わした。
足下にアキラが放った体液が滴り落ちた。
「…オレに負けて悔しいか…?」
顔を寄せて緒方がアキラの耳に囁くように聞いて来た。荒い呼気の中、震える唇でアキラは頷いた。
「…なら今日の一局を忘れるな。」
緒方は殆ど抜け掛かるまで自分のモノを引き抜いた。アキラが悲鳴を上げた。
そしてズグッと音を立てて深部に突き入れた。
あまりの衝撃にアキラの上半身が仰け反る。涙が溢れ出てアキラの頬を濡らしていたが、
放ったばかりのはずのアキラ自身はますます雫を溢れさせて既に勃ち上がりかけていた。
(52)
片足を掲げられ壁に背中を押し付けられ、無理な角度で何度も突き上げられる。
拷問のような責め苦のはずがアキラの内部を充血させ緒方の陰茎に絡み付き熱い体液を望んで吸い上げる。
「くおおっ…!」
緒方の喉から絞り上がるような呻き声があがり、それからさらに2〜3度突き上げて
アキラの腸内に熱いものが撒かれた。
「ふ…うん…!」
体内で硬く膨らみ上がっていた状態のモノが若干緩まり、アキラの体から少し緊張が解けた。
ボタンを前回したシャツとランニングと、靴下だけという状態で緒方の腰に支えられ壁に吊られた
アキラの肢体は淡い照明の下で汗に濡れて艶かしく浮かび上がっていた。
緒方は深く挿入したまま照明機具からアキラの両手を外した。とはいっても両手首は誡められたままだった。
その両手首の中に首を入れ、アキラに自分にしがみつくよう促す。アキラが力なく両足を
緒方の腰に巻き付けた。そうしてアキラの腰に腕をまわして抱き上げ体を繋げたまま寝室へ移動した。
緒方が1歩歩む毎に内部が突き上がってアキラが唸った。
ベッドの上にアキラの上半身を横たわらせて首を抜くと、収めたものが抜けないように腰を抱きながら
中央に動き、再びアキラの両手首をベッドの枕元の中央の柵部分に縛り付ける。
そして両足首を掴むと大きく左右に開き、自分を飲み込んでいるアキラのその部分を見つめた。
何度目かの行為であっても羞恥心はまだ強い。
両手の自由を奪われている事と堪え難い程恥ずかしい体位で視線を受ける事で相当な精神的苦痛を
与えられる一方で、視線がそのまま体を這って触れているような錯角を伴った。
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それだけで体中の血が下肢の中央に集まり、アキラの先端が硬くそそり立って雫を漏らす。
アキラは緒方から顔を背け、胸を荒い呼吸に上下させて屈辱的な仕打ちに耐えた。
否、耐える者を演じながら心のどこかでもっと深い快感を与えられる事を期待していた。
それに応えるようにドクンと緒方のモノが脈打ち再び内壁を押し開いて張り上がる。
緒方はゆっくりと腰を揺らし、円を描くようにして無抵抗な秘門を嬲る。
「ひあ…あ…」
限界まで口を広げ切ってなお広げられる鈍い痛みにアキラは苦悶した。
「…ん…ん…っ」
その鈍い痛みと表裏一体に甘く痺れる様な感覚も同時に生まれてくる。
先に放ったものを内壁に丁寧に塗り込めるように緒方は狭い内道に分身を潜らす。
そしてある部分を探す。
「ああ…っ、」
目的の場所を探し当て、その部分により刺激が行き渡るように調整して緒方が腰を動かす。
「あ…んっ!あ…はあっ!」
雫が散る程にアキラのペニスが跳ね上がり、アキラの細腰もまたそれから逃れようと浮き沈みする。
観察でもするようになおも緒方は自分が与える行為に反応するアキラを見下ろす。
「ダ…メ、…や…あ…」
その箇所から深い部分へと強大なものが中で動き、ゆっくりとしたテンポは次第に速められ
アキラを追い詰めて行く。
(54)
「イヤ…ああ…」
体の奥から熱いものがせり上がって出口に向かおうとした時、緒方は足首から手を離して
ランニングをたくし上げアキラの乳首に吸い付く。
「はっ…あっ!」
瞬時に乳首が固く尖り、両手を上に伸ばされて無防備にさらけだされたその敏感な突起は
歯と舌によって強く刺激されとろけるような快感でアキラを苛む。
一方で緒方は片手でアキラのペニスを握り射精出来ない様規制する。
そのまま愛撫を施されてアキラは狂ったように声を上げ始めた。
「はあっ…!ダ…メ…っ…あ…」
ギシギシとベッドが立てる音が強まるとそれに合わせてアキラの悲鳴も大きくなっていった。
「おがっ…さ…あああっ!!あ…ん…っ!」
出口を与えられないまま頂上近くを彷徨い、気が狂いそうな切なさが体内を煮る。
「…イキそうなのか?…」
耳元でそう緒方に囁かれてアキラは朦朧とした意識で答える。
「…イキ…そう…」
「…気持ち良いのか…?」
「…きも…ち…いい…」
殆どアキラの思考は停止していて誘導されるように返事をしていた。
「…社とオレと、どっちの方が気持ちいい…?」
「おが…た…さ…」
そう口にしてしまった後でアキラはハッとなった。
(55)
思わず緒方の顔を見つめる。表情のない緒方の目がいっそう鋭く光ったような気がした。
唇が震えて胸の奥が恐怖感に激しくに脈打った。
するとフッと緒方が笑みを浮かべた。
「…怒っている訳じゃない…。そんなに怯えなくていい…。」
そう言ってアキラの額に掛かる前髪を指で梳き、緊張を和らげるように眉間から鼻筋、頬へと
温かなキスを繰り返す。
そして固く握り込んでいたアキラのペニスを離し、労るように指で慰撫する。
「…あ…」
まだ怯えから解放され切らず色を失っていたアキラの唇に緒方の唇が重ねられる。
「ん…ん」
先刻までの、あれ程に荒々しかった行為とはまるで打って変わって穏やかで優しい愛撫のキスだった。
緒方のキスは赤みを取り戻した唇を離れると胸へと移り、突起を捕らえる。
指によるペニスへの刺激と合わせて腰がゆっくりと動きだす。
「…ああ…、あ…っ!」
体の芯から解きほぐされていく感触にため息のような吐息が何度もアキラの口から漏れた。
急激な高められ方ではなく、とろ火で煮られるような感覚。
そして時々歯を立てられ、強く擦られ、そしてゆっくりとした動きに戻される。
「ウ…ん、…はあっ…あ…ア、」
両手を留められて与えられる全ての刺激をただ受け入れることしか出来ずアキラは身悶える。
「や…はあっ、おが…たさ…、ん…っ、…じらさ…いで…」
喘ぎ声も次第に激しく大胆なものとなっていった。
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