白と黒の宴 64


(64)
「聞き捨てならんなあ、そらあ。清春はそんなマネせんわ。ワケの分らん言い掛かりは止めといてもらおか。」
「せや、うちの清春を親の七光りのぼんぼんと一緒にせんといてくれ。」
聞き捨てならないと言ったように睨み返したのは緒方の方だった。
その眼光の鋭さにその場に居た者たちが怯んだ。
「『うちの』という言い方、もう止めてくれんか、恥ずかしい。」
社が客らと緒方の間に割って入り、緒方に頭を下げた。
「申し訳ないです、緒方先生。…途中まで送ります。」
後をついて来かねない客らにひと睨みして、社は緒方とそこを出た。

出て間もなく裏道に入り、歩きながら社は唐突に緒方に問いた。
「恋人なんですか?塔矢アキラは緒方先生の…」
緒方が社を睨む。だがそう問われることは予想していたようだった。
「…違う。」
その答えは社にとって意外だった。社がアキラを抱いた時、アキラがそういう行為が
初めてではないと感じとったし本人も否定しなかったからだ。
だがそれは今は口にしてはいけないと思った。
「そやったら…関係ないと思いませんか。…オレが塔矢アキラに近付こうがどうしようが。」
緒方の足が止まった。だが社は臆せず続けた。
「オレは本気です。塔矢アキラも―あいつもまんざらじゃなかった。」
緒方の腕が伸びて社の胸ぐらを掴む。すぐさま社もその緒方の手首を掴み、睨み合いとなった。



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