白と黒の宴 65


(65)
裏通りとは言え人陰が無い訳ではなかったが、さして物珍しい光景でもないといった風に
睨み合う二人に特に注意を向ける者はなかった。
片や白スーツにサングラス、片や逆立てた茶髪に黒のセーターと黒のジーンズの上下に身を包んだ
鋭い目付きの若者となればかかわり合いになりたくないと思うのが心情だろう。
若干上背で勝る緒方を見上げる形で社は挑発的な笑みを浮かべていた。
「オレを受け入れるか拒絶するかは塔矢本人が決める事やと思いませんか…?」
そのまま暫く二人は動かなかった。そして緒方が口を開いた。
「君は塔矢アキラという人間が分かっていない。…抱いただけでは彼を手に入れる事は出来ない。」
その言葉に「ハハッ」と社が可笑しそうに笑い出す。
「それくらい判っとる。囲碁でもあいつに認められんとダメやゆう事やろ。とりあえず北斗杯の
選手の座を勝ち取って塔矢のチームメイトになってみせる。」
「分かっていないようだな。…アキラにとって北斗杯なぞ何の意味も持っていない。」
「塔矢が望めば四冠でも五冠にでもなったるわ。」
「その前に『障壁』が超えられるかどうかだ。」
「『障壁』…?」
怪訝そうな表情を見せる社から緒方は手を離し、社も緒方の手首を離した。
「北斗杯の選抜戦でわかる。」
言葉の意味を思案する社の前から緒方は立ち去った。
社はジーンズのポケットから選抜戦の対戦表を取り出す。自分の他七名の名が並んでいる。
「…『障壁』…?この中に…?」



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