白と黒の宴 7


(7)
「…ふうん。」
何かを問いた気に緒方がちらりとアキラの顔を見る。
「面白い子だったわよ。体が大きくて男っぽくて。アキラ君と対局を続けるために
新幹線の切符まで破いちゃって…」
「ほんの、軽い手合わせですよ。」
アキラは市河が緒方にそれ以上話すのを遮断するように言うと碁会所のドアを出て、
エレベーターのボタンを押した。
エレベーターはすぐにその戸口を開けた。緒方も多少慌てて追い付きアキラに次いで中に入る。
コートに袖を通さず固く握りしめているアキラを緒方は黙って見つめるが特に何も聞いて来ない。
よけいな事は言わない方がいいだろうとアキラは思った。
特に言葉を交わす間もなく下に着き、表に出た。
アキラはいつもの緒方が車を停めている場所に向かいかけた。が、緒方は別の方向に歩み出した。
「緒方さん?どちらへ…」
「確かこの近くだったはずだな。」
緒方が進む方向について行きながら、アキラは動揺した。あの事務所に行くつもりなのだ。
「アキラくんは新しい事務所をもう見たのかい?」
「いえ!、まだ…」
思わずそう答えてしまってアキラは後悔した。
「中国棋院に関する資料を借りたいんだ。事務所に置いてあると聞いてね。それを取りにいくだけだ。」
アキラは迷った。一人先に駐車場に行くべきか、それとも一緒に行くべきか。



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