白と黒の宴 71


(71)
「検討会は結構やったんだけどさ、どうしても森下師匠本人が目の前だと和谷とか
冴木さんも…オレも突っ込んだ事言いにくくてさ、例えばここ…」
並べた石を少しさかのぼって取り払い何手かパターンを示す。
「ああ、なる程ね。こっちを先にオサエたくなるのは分る。けど…」
アキラはヒカルの言いたい部分を理解し、手を伸ばして他の手を提示する。
「うん、オレもそれ考えたんだけど森下先生は『ジッセンテキじゃない』ってさ。」
「ボクは面白い手だと思う。ただその次にここに打つのはどうかと思う。」
「なんで。いいんだよこれで。」
「じゃあボクはここに行くよ。そうしたら進藤はどうする?」
「こっちにトぶ。」
「ふーん…ならこっちはキッていいんだね。」
「ぐっ」と詰まったような表情をしながらあくまでヒカルは引き下がろうとしない。
そうしていつしか盤上は二人の対局と化しつつ、目まぐるしく石と意見が交錯した。
先に音を上げたのはヒカルの方だった。
「分かった。分りました。でもこれでスッキリした。」
さすがに疲れたのか、そう言ってヒカルは首の後ろや肩を手で揉んでいる。
「塔矢も緒方さんに負けたんだよな。さすがタイトルホルダーだな。どんなだった?」
「…ボクのはいいよ。」
あの時の棋譜を思い返す事はその後の事まで一緒に思い出す事になる。
「…ふうん?そお?」
ヒカルは特に疑問を持つ様子もなく畳の上に大の字に寝転がった。



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