白と黒の宴 74 - 75


(74)
「…進藤…」
「緒方先生…!、ご、ごぶさたしてます。」
門のところに立つ人物が緒方と判るとヒカルは屈託無く笑顔で挨拶する。塔矢は塔矢でこれから
緒方と検討会なり対局なりする約束があったのだろう、とその位にしか思っていないようだった。
「じゃあな、塔矢。」
自分がここに来ていた事も当然後ろ暗く感じるところなく、ヒカルは傍に立つアキラに明るく
手を振ってその場を離れた。アキラは無言のまま緒方を見つめていた。
ヒカルが数メートルほど歩いて何気なく後ろを振り返るとアキラと緒方の姿はもう家の中に消えていた。
「…?」
何となく、二人の間に緊張感のようなものをヒカルは感じたが、
「そっか、同門対決の後だもんな…」
と呟くと夜道を駅へと急いだ。

居間の食卓の上には空になった皿やざる、二組の箸とつゆの小鉢が残されたままになっていた。
アキラはそれらのものを盆に乗せて流し台に運び、代りにふきんを持って来て食卓の上を拭く。
食事の用意の際に部屋着のチノパンと薄手のセーターに着替えていた。
「ボクがまだ小学校の低学年の頃は緒方さんもよく一緒にここで食事をしていましたよね…。
進藤が、お腹減ったって言うから、…でも何もなくて、うどんをゆでてあげたんです。
…ボクがネギを刻んで、しょうがを摩って…」
緒方に問われた訳でもない話をアキラは独り事のように説明しながら
ヒカルと過ごした時間の痕跡を片付けていった。


(75)
緒方は黙って腕組みをして居間の入り口の柱に寄り掛かるようにしてその様子を眺めていたが、
ゆっくりとアキラに近付いていった。
「…それで、冷凍庫にあったおかずの余りものとか、レンジで温めて…、それで何とかなって…。
進藤って細いけど、ああ見えて結構食べるんですね。」
話しながらアキラは袖をまくり流し台の洗い桶の中の食器を洗い始める。
「すみません、緒方さん。…ここを片付けたらすぐにお茶でも…」
そう言いかけようとした時、流し台に向かっていたアキラのすぐ背後から緒方は両腕で
アキラの体を後ろから覆うようにしっかりと抱きしめてきた。
「…ずいぶん楽しかったようだな。」
アキラの両手は泡にまみれ、食器とそれを洗うスポンジで塞がっていた。
「楽しいですよ…。進藤と囲碁の事で話し合うのはとても楽しいです。」
緒方は知っているはずである。自分がヒカルに対しては生涯のライバルとして、そして数少
ない同年代の友人として、あるいはそれ以上の存在として心を開いている部分がある事を。
その事を隠すつもりはなかったしやましい事など何一つ自分達はしていない。
アキラは笑みをたたえたままで落ち着いた口調で答えた。
「…それは良かった。」
緒方の手がアキラのパンツのウェストのボタンを外して中に滑り込んで来た。ビクリとアキラの全身が強張る。
「…!!」
片腕で抱きとめられ緒方の体と流し台の間でアキラは動く事が出来なかった。緒方の手はそのまま
ブリーフの中でアキラの臀部を撫で回し、その谷間の奥に指を押し込んで来た。



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