Power Station Discography
The Power Station
ここではPower Stationのアルバム『The Power Station』を紹介します。
’84年の夏ごろからプロジェクトは始動して翌年の春にアルバムはリリースされました。
簡単にメンバーを紹介しておきます。
Robert Palmer/
Vocal
Andy Taylor / Lead Guitar, Backup Vocal
John Taylor / Bass Guitar, Backup Vocal
Tony Thompson / Drums
まず最初にジョンがロバートとあるクラブでのライヴの打ち上げで出会います。
ジョンはライヴ・アルバム『Arena』の仕事が一段落付きはじめたころにアンディを誘いレコーディングを開始します。
ドラムには“The Reflex”のミックスで知り合ったナイル・ロジャースの伝でナイル・ロジャースが在籍するバンドのChicのトニー・トンプソンに決定。
さらにプロデューサーも同じくChicのベーシスト、バーナード・エドワーズに決まりました。
バーナード・エドワーズはジョンの憧れのベーシストで、後にリリースされたビデオからジョンが緊張した面持ちでバーナードからベースのレッスンを受けている様子が窺えます。
ナイル・ロジャースやバーナード・エドワーズはニューヨークのPower
Station Studioを拠点として音楽活動を行っていましたので、
レコーディング・スタジオもそのPower Station Studioにすんなり決まりました。
そのスタジオの名前からこのプロジェクトの名前は決まったのです。
アルバムには全部で8曲収録されていますが2曲のカバー以外はジョンとアンディとロバート・パーマーが中心となって書いています。
Side A
1.Some Like It Hot
アルバムのオープニングを飾るには非常に相応しい感じのするナンバーです。
アルバム・リリースに先駆けてシングルでリリースされました。
ドラムにはアルバム全体を通して深いリヴァーヴが掛かっていますが、その事が一番良くわかる曲です。
ギターもヴォーカルもベースも気合が入っていて、まさに「これがPower
Stationだ!」という挨拶代わりの一曲です。
で、私はこのギター・ソロを聴いた時に「アンディってこんなにもギターも弾けるんだぁ!?」と思ったものでした。
2.Muderess
Rolling Stonesみたいなギター・リフで始まるナンバーです。
“Some Like It Hot”同様、ホーンがフューチャーされています。
この曲でのアンディのギター・ソロはアームを効果的に使って、最後は半音ずつ上がっていくトレモロ・ピッキングで締めています。
3.Lonely Tonight
アルバムに収録されているオリジナルの曲でジョンとアンディが曲のライティングに加わっていない曲です。
ヴォーカルのロバートとプロデューサーのバーナード・エドワーズが書き上げました。
しかしこの曲でもジョンとアンディのエッセンスは生かされています。
特に「ここだっ!」という所でしか音を入れないジョンのベースはたまりません。
4.Communication
このアルバムから3枚目のシングルです。 しかし“Some
Like It Hot”や“Get It On”ほどはヒットしませんでした。
女の子に「いつも連絡だけは取り合っていようね。」と呼びかける内容の曲です。
でも、連絡を取り合う方法が[エア・メール、カセット、はがき、テレックス、手紙、電話]といったものしか歌詞には出てこないところに時代を感じます。
Side B
1.Get It On (Bnag a Gong!)
この曲をカバーしたかったからジョンがロバート・パーマーにまず最初にPower
Stationの話を持ちかけたらしいです。
オリジナルは70年代にイギリスでデヴィッド・ボウイと人気を二分していたマーク・ボランのいたT-Rexです。
カヴァーの方法としてはオリジナルに忠実にカヴァーをする方法と、まったくアレンジを代えてカヴァーする二通りの方法がありますが、
Power Stationは後者の方法でチャレンジしています。 同じ頃にFrankey
Goes To Holywoodがシングル・カップリングで前者の方法でカヴァーしていました。
しかしPower Stationの場合、イントロがちょっと長いような気が・・・。
この曲の聴きどころはオリジナルには無いジョンのベース・ソロでしょう。 ジョンが得意のスラップ・ベースを駆使して4小節ほどのソロを弾いてます。
その後に続くアンディのギター・ソロも素晴らしいです。
2.Go to Zero
この曲もジョンとアンディはライティングに加わっていません。
おそらく“Lonely Tonight”とこの曲はロバートが自分のソロ・アルバム用に書き溜めていた曲なのでしょう。
詞は韻を踏んでいて聴き取りやすい曲です。
3.Havest for the World
あのIsley Brothersがオリジナルの曲です。
この曲のオリジナルを私はまだ聴いたことがありませんので比較はできませんが、この曲のハイライトはロバートとアンディのツイン・ヴォーカルでしょう。
アンディの歌っている声をはじめて聴いた私は「アンディのほうがサイモンより歌が上手い!」と思いました。
結構、ギタリストの中にはそのバンドのリード・ヴォーカリストなみかヴォーカリストよりも歌が上手い人はいますね。
Bon Joviのリッチー・サンボラとか。 ・・・他に名前が思い浮かばないよぅ。
4.Still in Your Heart
アルバム最後の曲はスローなバラードっぽい曲です。
この曲はアルバムの中で唯一アンディのギターが陰に隠れてしまった曲です。
ギター・ソロが無い変わりにサックスのソロが入っています。
このアルバムは総演奏時間が35分足らずで今の時代では非常に短いですが、それ以上に中身が濃いアルバムです。