裏失楽園 15 - 17


(15)
 ボクは彼に操られる人形になった。彼が導くままにうち震えるところを両手で掴む。羞恥を
感じたのは一瞬で、後は夢中でそこを弄った。
 激しく腰を打ちつけながらも、緒方さんは顎をボクの肩に乗せて冷静にボクを観察している。
 ボクのみだらな手の動きを緒方さんは逐一記憶していて、それを別の機会に活かすのだ。
「――ったら、手を……なさい」
 耳元で彼が囁いている言葉すら、ボクは理解できなかった。ひたすら目の前にある高みを目指し
両手を動かす。手の滑りが格段に良くなって、摩擦による痛みはほとんど感じなくなった。
 ボクの手の動きと、緒方さんのスピードが重なり合う。
 先程も感じたあの感覚が甦ってくる。熱くて、ピリピリと神経に直接触るような、そんな感覚が。
「っ、ぁ……っ」
 身体の力が一気に抜け、膝がカクンと抜ける。緒方さんがボクとの結合を深め、ボクの手からは
受け止め切れなかった体液が零れ落ちた。


(16)
 全身が数回ビクビクと激しく痙攣し、ボクはそのまま脱力した。
「………っ、」
 ボクにつられたのか、彼は何度か深くボクの身体を味わったあと、決して声を上げずにボクの内
部に精を残した。――内側から何かが逆流するような、奇妙な気持ちになる。
 達した後で、いつものように彼が脱力してボクに覆い被さってくる気配はない。彼はボクに覆い
被さる代わりに大きく息を吐いた。
 緒方さんはボクからズルリと出て行き、すぐにティッシュをボクの後ろにあてた。
「――しばらくは閉じないだろうから、このままにしておきなさい」
 ボクは彼に抱きかかえられるように床に腰を下ろした。すでにそこから何かが流れ出てくるよう
な感触がしていたが、彼が言うように力を込めようとしてもそこは痺れたように言う事をきかず、
ボクは彼がバスルームに運んでくれることを願った。


(17)
 熱いものが身体の中から外に出て行こうとする。ボクはそれを止めることができず、緒方さんは
チッと鋭く舌打ちをした。恐らく、だらしのないボクに対する苛立ちの現れだ。
 ボクはやるせなく裸のままの身体を竦ませる。
「やはりゴムを着けるべきだったな。…大丈夫かい?」
 ところが彼はボクではなく、自分に怒っているようだった。ボクの後ろの具合を確かめるように
入り口に触れ、そのままボクを横抱きにして立ち上がる。
「バスルームに連れて行こう」
 ボクは両手を緒方さんの首にまわし、身体を持ち上げて彼の首筋に顔を埋めた。そこから香る
フレグランスを嗅ぎ、舌を延ばして滴った汗を舐める。顎を辿り、口の端へと尖らせた舌を伸ばすと、
大股で歩いていた彼の動きが一瞬止まり、噛み付くような口付けを受けた。
「……すき……」
 彼はボクを否定せず、その言葉ごと深い咬合で奪っていく。ボクの身体を幸せが通り抜けた。



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