裏失楽園 71 - 72
(71)
「と……」
彼に見られていることが判っているのに、手の動きを止められないでいるのは、惰性というよ
りもむしろ本能に近かった。
進藤の足が一歩後ろに下がる。それは進藤がボクに対して抱いている心情のようにも思えた。
「――見るな!」
ボクは叫んで、いやらしい指が一気に暴走しそうになるのを必死で押さえ込む。きちんと声が
出たかどうかは判らなかったが、そう口にせずにはいられなかった。
彼に抱かれて、それだけでは飽き足らずに自分を夢中になって慰めている。ボクはそんな風に
進藤の大きな目に映っているのだろう。
そして、それはやはりボクそのものなのだ。
ボクの背後で、緒方さんの喉が低く笑みを刻む。彼の喉仏が震える振動を頭で感じた。
「いいところに来たな、進藤。――そこから、オレたちが繋がってるのが見えるか?」
緒方さんの怒張したものは先程からずっとボクの身体の中深くに埋まっている。だが、それは
より深い繋がりをボクに強要していた。
緒方さんはボクの左右の太股を下から掬い上げるようにして持ち上げる。ズル…と、それまで
身体の飢えを存分に満たしていた栓を抜かれるような感触がし、ボクはそこに力を入れるべきか
脱力すべきか判断がつかなくなった。
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不安定な体勢のボクを支えているものは緒方さんの両腕と、ボクの身体深くに打ち込まれた杭。
それから上半身を預けている彼の逞しい肉体そのものだ。
「…アキラくん、そんなに締め付けないでくれないか」
「あ……ぅっ」
緒方さんがボクの身体を軽く揺さぶりながら笑う。彼が進藤に聞こえるように言っているのは
明らかだった。そして、ボクの身体を抱え直しながら『誘ったのはキミだっただろう?』と小さ
く囁く彼に、ボクは奥歯を噛み締めることしかできない。
信じられないことに、彼の陰茎は進藤に見られながらもなおボクの中で成長を続けていた。
彼の成長を感じるたびに、ただでさえ極限状態にまで広げられた部分がボクの中で声にならな
い悲鳴を上げる。
「ほら、手を退かしなさい」
ボクに軽く命じる緒方さんの声は喜色に溢れていた。彼が“第三者に行為を見られている”と
いうシチュエーションに興奮していることは容易に知れた。
「アキラくん」
彼はボクを持ち上げている両手をボクの大腿部から離すと、いきり立つ局部を隠していたボク
の腕に軽く触れる。
「手を退かして、キミの感じているところを進藤に見せてあげなさい」
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