裏失楽園 75 - 76
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ボクは両手で自分の膝を掴み、緒方さんに強く凭れる。一度進藤の視線に晒されて、焼け付
くような羞恥が駆け抜けた後は諦めにも似た思いに苛まれた。
だが、しばらくするとこの状況――進藤の目の前で、緒方さんに拓かれいるという――がボ
クに酷い陶酔と興奮をもたらしてくる。
「身体がとても熱くなってるね。キミの熱でオレも溶かされそうだ。……もう耐えられそうに
ないかい?」
「わ…かって……で、しょう…!」
「ああ、判ってるよ。キミのことならなんでも。例えば――感じすぎると泣いてしまうことや、
右よりも左の胸の方が敏感なこともね」
緒方さんの指が唇の端に触れた。ボクがだらしなく溢れさせてしまった唾液を掬うと、右の
乳首と左のそれを交互に撫ではじめる。緒方さんのいやらしい動きは右も左も同じなのに……
確かに、ボクの方は緒方さんの言うとおりだった。
「……」
緒方さんの鼻先が頭に押し付けられた。彼は髪を伸ばすようにボクに言うほどにはボクの髪
を気に入っていた。今も鼻先で髪を掻き分け、口に銜えたり引っ張ったりして愉しんでいる。
前髪や横の髪を掻き上げられ、促されるままに横を向くと彼のくちづけが落ちてきた。緒方
さんの唇はボクの唇を何度も挟み、時にはぺろぺろと上辺だけを舐められる。
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我慢出来なくて口を開けたが、待ちわびた彼の舌は入って来ずにやがて離れていった。
「カワイソウに、もうすぐで達けたのにオマエが入ってくるから」
「う…」
グイ、とボクのシャフトを大きな手で握り込まれた。もっと優しく触れて欲しい。ボクは彼
の手のひらに擦り付けたくて腰をくねらせた。
彼の両手は何時の間にかボクの脚を広げる役目を放棄していることを、ボクは唐突に気づい
た。緒方さんに抱え込まれていなくても、ボクは局部をすべて曝け出していたのだ。
「アキラくん、進藤にオネダリしてみたらどうだ? 彼にはキミの後ろはオレのものだと言っ
たが、それ以外を禁止した覚えはないぜ」
彼の行動には呆れてしまう。緒方さんはそんなことを進藤に言っていたのか――と。
緒方さんは、まさしくボクの身体の隅々をボク以上に支配しているのだ。
「しんど……」
緒方さんが動き、ボクが動くたびにブレる視界の中央で、進藤がゆらりと動く。
ボクより一足先に18歳になった進藤は、出会った頃のような柔らかな印象がなくなった。
ボクが見下ろすほどに小さかった身長も、いつの間にかボクと同じくらいになっていた。
その進藤に向かってボクはさらに膝を開いた。
「――ボクに、触って」
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