裏失楽園 87 - 88


(87)
 訴えると、彼は合点したのか何も言わずにボクの下肢に指を伸ばした。シーツを派手
に汚してしまっただろうボクのだらしのない蛇口に指を一本含ませる。
「まだ閉じきってないね。ヒクヒク――というよりもパクパクって感じか、オレの指
を食ってる。食い足りなかったようだな」
 わざわざ言われなくても、ボクの中と明らかに温度の違う彼の指を、ボクの意思とは
無関係にボクの後孔が締め付けたり緩めたりしているのは感覚で判っていた。
「ま、こんな状態のときの方が広がってよく中を洗えるだろう」
 緒方さんは露骨なことを口にしながら中に入れた指をクイと曲げる。身体の中の一点
が変に刺激され、ボクは背中を丸めることしかできない。
「……っ」
「今回はかなり奥まで入ってるだろうから、できればトイレに行って一緒に出したほう
がいい。下剤を飲むか? それとも――アレ、使うか?」
「ボク一人でなんとか……できます」
 ボクはかぶりを振った。後がひどく辛い下剤も、それから傍で見ているであろう彼を
悦ばせるだけの洗浄薬も必要なかった。
 何度も彼と交渉をもったことのあるボクは、今までにも何回か自分で後始末をしたこ
とがあった。基本は避妊具を付ける緒方さんだったが、たまにはそういうこともある。 
「…一人で平気か?」
「ええ」
 彼の指を体内に含んだまま、ボクは手を引かれて身体を起こした。


(88)
 緒方さんの腕の上に座ったような格好になったボクは、自分の萎えたものや蜜袋が彼
の腕に触れていることを恥ずかしく思った。だが、緒方さんはあくまでも無表情だった。
「じゃあ、なるべく低い温度の湯を浴びなさい」
 ゆっくりと指をボクの体内から引き抜くと、緒方さんはそれらを無造作にシーツで拭い
て立ち上がる。乱れた服装を軽く整え、彼はベッドの端に落ちていた眼鏡をかけた。
 そうすると、もういつもの緒方さんだった。
 ストイックで、知性が全面ににじみ出ている――そんな緒方さんに対して、ボクはまだ
火照ったままの体を持て余している状態だ。勿論、身体には何一つ纏ってはいない。
 もぞりと身体を動かすだけで、身体の内部から逆流を始めた緒方さんの体液が溢れて
くる気配を感じる。ボクはそれらがシーツを今以上汚さないよう、後孔をより一層引き
絞った。…だが、それも長くは保ちそうにない。
「ティッシュ、取ってください」
 少しでも身体を伸ばすと腸に刺激を与えそうで、ボクは緒方さんを見上げて訴えた。
 緒方さんは何も言わずサイドボードに歩み寄ると、引き出しからウェットティッシュと
ボックスティッシュを取り出し、ボクの傍らに置く。
 そっと尻を上げると、危惧したとおりその下に少し黄味がかった染みが広がっていた。
それは間違いなくボクの体内から零れたものに違いない。
 ボクはティッシュを何枚も取ってそれらの上に広げ、その上に腰を下ろした。
「我慢しなくてもいい。別に、シーツなどいくらでも汚して構わないさ」
 そう言うと、緒方さんは呆れたように肩を竦めた。



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