能力者バトルは数あれど、ハンターハンターと並んで僕が好きなのが、このX-MEN。その最新作を見てきましたよ。
結論から言うと、非常に素晴らしいですね。1と2の出来もまったく素晴らしいの一言なんですが、3も遜色ありません。これだけシリーズを重ねれば、そろそろクオリティも落ちそうなものなのに、これは嬉しい誤算です。
X-MENの能力バトルは本当によく出来ていて、彼らはコンビネーションもガンガン使うし、直接戦闘以外でも能力を利用します。彼ら一人一人の能力は結構シンプルなのですが(発火能力とか磁力操作とか)、それらが組み合わさったり、直接戦闘以外で用いられることにより、物語に厚みが生まれ、イマジネーションが広がるのです。
例えば、(ちょっとネタバレになるけど)悪の能力者軍団は、分身能力者を分身させて頭数を増やし、そちらを本隊と思わせて政府軍を陽動し、実際の本隊は目的地であるアルカトラズ島を強襲します。また、攻撃手段も、磁力操作能力者が車を放り投げ、それに発火能力者が火をつけることで爆発させるなど、コンビネーションを見せます。僕たちが「この能力だとこんなことできるんじゃね?」と思うことをガンガンやってくれるんです。しかも、スピーディーに。
ストーリーも良く出来ています。今回は「ミュータントの治療薬」を巡るお話なのですが、要は、
人間「ミュータントを治せる薬を作ったよ。任意だけど使う?」
ミュータント「治すってなんだよ! いつからオレたち病気になったんだよ!」
というもので、一部のミュータントたちは「任意と言ってるけど強制するに決まってる」と思い、政府側を攻撃するわけです。これは白人が黒人に対し、「肌を白くする薬作ったけど、使う?」と言ってるようなもので、憤慨する黒人もいれば、「実際に差別がなくなるのだから」と喜んで使う黒人もいるような、そういう感じです。ミュータントにも実際に喜んで使う人はいましたし。
一方、「将来的には強制するに決まっている」と怒って蜂起するミュータントたちの言い分にも一理あり(国家権力ってそういうことやりかねないよね)、彼らの行動にも説得力があります。主人公側は「人間とミュータントが共存して〜」という理想主義的なスタンスなのですが、その考えだけでミュータントがみな一致団結できるわけがないというのもリアルです。
ちなみに、今回のメインパーティーは、ウルヴァリン、ストーム、ビースト、アイスマン、シャドウキャット、コロッサス。それに加え、メインではないもののエンジェルも登場します。前作から継続するのはウルヴァリンとストームだけですが、個人的にはマッコイ先生(ビースト)が出てきただけで、もう感涙モノですね。あと、キティ(シャドウキャット)のファンなので、キティvsジャガーノートとかすーごく良かったです。
以下、思ったことをつらつらと。
・パイロは前作と比べて、かなり原作に近付いた。すごくダーク。
・キティは防御面が無敵だ。
・テント張り生活してるブラザーフッドを見て、ジーンはきっと「家に帰りたい」と後悔したと思う。
・橋を動かすとか、そんな大掛かりなことせずに、船一隻パクって隠密裏に忍び込めばいいのに。
・ご丁寧に橋とか架けちゃうから、軍の後続部隊も橋渡ってきたよ。
・スパイクは相手が悪かったとしか言いようがない。あの能力で超回復能力を持つウルヴァリンに勝てるはずがない。
・ジャガーノートのおつむの弱さがしっかり表現されていた。
・エンジェルは美味しいところを持っていくなあ。
・VFXは普通に感心するほどすごい。
・小さい頃のローグはあんなに可愛かったのに……。
・ミスティークは常に全裸だったのか…!
・ジーン暴走は映画しか見てない人にも通じるのだろうか……。
・マグニートーのヘタレっぷりには癒される。
・本当にマグニートーはヘタレだ。
・でも、サイクロプスはもっとヘタレだ。
100点満点で点数つけると100点ですね。X-MENの他作品に触れてないと、ちょっと評価は落ちるかもしれませんが、それでも丁寧で良質な映画であることは間違いないと思うのでオススメです。
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